透明な壁
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「うわあ⁉」
スズは上半身が前に倒れるような格好となったが、混乱しながらも体を起こす。
う、動いたっ? なんで?
「どうして? コントロールが上手く動かない……」
カエデはスズを見上げる。
「あなた、また何かした?」
「な、何かって……カエデさんがさっきから危ないことしようとするから、それを止めようとしただけだよ」
「あっ……」
カエデは目を見開いた。遠くから、何かがやってくるのだ。それは白く光っている。
スズはまたもや何もわからずに、彼女に問う。
「ねえ。あれ、まずい?」
カエデは珍しく焦り、叫んだ。
「避けないと……! 間に合わない!」
エンジェルは、2号機に侮蔑を込めて一瞥をし、それから、少し眉をひそめる。
「君、諦めが悪いのね? でも残念。これじゃあ、楽しめそうにないわね?」
エンジェルは、また手を伸ばすと、5号機があっという間にビームで吹き飛ばされる。
スズはとっさにまぶたを閉じた。だが、彼女は強烈な揺れと、後ろに転がる衝撃をもろに受け、叫んでいた。
「うわあっ⁉」
カエデは顔を歪めて、痛みに耐える。
「ゔ……くっ……」
5号機は、兵装ビルに背中から勢いよく倒れると、そのビルは、南東に二十メートルも大きく移動した。
だが、カエデは深呼吸をすると、ナイフの刃にプロテクトをまとわせる。
プログの電子時刻が一分を過ぎ、電子時刻を表示しているディスプレイも長い警告音をたてた。
5号機は、エンジェルに突撃して行くが、しかし、プロテクトをまとわせて突き出したナイフは急に止まる。
高い金属音とともに、5号機の目の前に透明な壁が現れ、スズは、思わず目を見開いて驚いた。
「な⁉ これって……さっきの壁?」
「ん……」
カエデは首肯する。すると、彼女はまた、さらに前に身を乗り出した。
「ぐっ……このっ‼」
スズもカエデにならい、両手で、目の前にあった操縦桿みたいなものをつかみながら必死になる。彼女は、自分の代わりに戦ってくれているカエデの助けになりたかったのだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




