5号機 再出撃
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
5号機が再び地上に出ると、エンジェルは、手を銃の形にし、その照準を5号機に定めていた。
高い金属音が鳴り響いたあと、エンジェルのビームの攻撃が繰り出される。だが、5号機の目の前に、再び透明な壁のようなものが張り出される。
カエデは、心配そうにスズを見る。
「あなた、けがは?」
「うん……私は大丈夫。でも、カエデさんは? つらくない? やっぱり、戻ったほうがいいんじゃない?」
「でも、放ってはおけないわ」
その黒い瞳は、スズを凝視している。
エンジェルは、またため息混じりの声で答えた。
「だから人間は嫌いなのよ。おとなしく黙って殺されればいいのに」
エンジェルは、紺色のスカートに手を入れたまま、動かずにいる。
カエデは、エンジェルの独り言に答えずに眉をひそめた。
エンジェルは、ある一点を人差し指でさすようにすると、5号機が、とてつもない轟音ともにビームの攻撃を浴びる。
ウーゼ開発研究主任が、パーソナルコンピュータの画面を見つめながら答えると、その声は、5号機のコックピットに響いた。
『5号機、腹部に損傷! 損傷は、六十五パーセントです!』
スズは、眉をしかめ、感じたことのない痛みに体を前屈みにする。
「う——!?」
「きゃあっ!?」
彼女は、左手で腹部を強く押さえた。
「……ううっ……くっ……」
「いっててて……」
スズもその痛みに耐えたつかの間、彼女は、自身に湧いた怒りとともに5号機を動かす。
「このっ……!」
再び、5号機がナイフを手に取り、エンジェルに向かい、突っ込んで行く。
スズは思わず、身を乗り出した体勢になった。
「ねえ、カエデさん!? 何するの?」
止めないと! 今、カエデさんはけがしてるのに!
すると急に、カエデとスズが乗っている5号機が、グググッ、と大きく上半身を乗り出し、ズズンッ、と左手を地面に着きながら、右手を伸ばす体勢になる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




