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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
初戦 出会い
27/260

似つかわしくない言葉

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 「ええ?」

 スズは一瞬だけ、(たか)のような彼女の(ひとみ)(にら)まれると、もろ手を慌てて口元に()てた。

「あ、ごめん……頭痛するんだよね? 大声出してごめん、カエデさん」

 そして、スズは、罰が悪いように唇を引き締めると、カエデに黙って着いていった。

 白衣姿の女性は、携帯電話を白衣から取り出すと片耳に当てた。だが、彼女は、空いている片手を伸ばす。

「あっ、待ってよ。カエデさん、スズさん!」

「ごめんなさい、サクラ」

「いや、ごめんとかじゃなくて! カエデさん?」

 二人で走り始めたとき、カエデは、スズをちらりと見た。

「走れる? スズ?」

 スズは切れ切れの息の間に、うなずいた。そして、スズが、カエデに呼ばれたサクラを首を回して見ると、彼女はどこかに電話をしているようだった。あの青年に連絡をとるつもりだろうか。

 カエデは先頭になり、スズを誘導しているが、その脚力(きゃくりょく)がスズよりも早いのだ。

「うん。私は大丈夫。カエデさんは?」

「まだふらつくけど、平気よ」

 すでに前を向いた彼女の瞳は、濃紺色のウーゼに定められていた。

「ねえ、さっきのサクラさんと知り合いなの? 名前呼んでたよね?」

 スズの予想に反して、カエデは二重の瞳を大きく見開かせた。

「え? 本当?」

「うん。本当。サクラ、って呼んでた」

「そうね。私、彼女にお世話になってるわ。あなたもこれからは、たくさん彼女とお話しする機会があるかもしれないわね」

 スズは、(つば)を飲んだ。

 自分に、これから、という言葉が、似つかわしくなかったからだ。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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