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この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
ディスプレイが、シャコンッ、と機械音をたてて開いた。
『どうした?』
「えっと、その、CPO循環器が止まっちゃったみたいなんですけど……」
『本当か? わかった。なるべく早く——いや、六十秒で回復させる』
そこにアオが、話に割って入る。
「さすが室長」
「ホントですか? あと、乗ってた人が——」
室長の青年は、スズが全てを言わなくてもわかったようだった。
『カエデか?』
スズとアオは、そろって首肯する。彼女はアオを横目で見てから、話す。
「あっ、はい。多分。そのカエデさんが苦しそうで……」
『退却、つまり、そこから逃げられるのか?』
「そんな……彼女のこと置いていけませんよ」
しかし、アオは、彼に同意する。
「そうだよ、スズ。退却したほうがいい」
スズの眼前に、ごぼごぼと大きな泡が立った。
『戦え』
スズは首をかしげる。
「え?」
「ハルト! さっきは退却しろって言ってたくせに、なんですぐに手のひら返しするのさ?」
『戦うんだ。残念ながら、パイロットは橘さんしかいない。実はもう一人いるが、出撃させられない。アオ。おまえは別としてな』
アオは、不満げに眉をひそめる。その口調は、スズに話しかけたときとは違う、年頃の少年らしい不満そうな口調だった。
「だから、なんでなの?」
『おまえ、さっき言ってただろ? 僕は出番ない、って』
「あー、そうだったね……」
アオは、しまった、というように右頬をかく。
スズは、ディスプレイ越しの青年に追及する。
「なんでなんですか? そのパイロットではダメなんですか?」
『無理だ。橘さんと一緒にいるアオだしな。——あっ、出てくるぞ』
スズが疑問を問う前に、そのとき、地面が一瞬揺れた。
「この揺れは?」
スズがコックピットのへりにつかまると、アオが彼女の左側に立ち、その肩を支える。
「これは——地震なの? 室長?」
アオが呼びかけると、室長の青年はディスプレイから応える。
『ああ、地震だ。現在、震度三を観測』
スズも疑問を口にする。
「え? 地震?」
『それも、この第5管区だけだ』
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




