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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
199/260

カエデとの電話3

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



「だ、大丈夫、大丈夫……ありがとう。いったー……」

 だが、彼女は、その痛みに悶絶(もんぜつ)する間もなく、(ひたい)に手を当てた。

「ちょ、ちょっと待ってよ。カエデ? 何言ってるの? さ、三千万円? 何これ、夢?」

 スズは頬をつねったが、つねったところが痛いだけだった。

「夢じゃない……」

『ええ。そうね。夢じゃないわ』

 スズは声が出なかった。

「…………」

『スズ? どうかしたの?』

 カエデに尋ねられた彼女は、うなじに触れる。

「あ、ごめん。ちょっと、驚きすぎて……。ありがとう、カエデ。教えてくれて助かったよ」

『いえ。また明日ね、スズ』

 スズは、うん、とうなずいた。

「また、明日ね。カエデ」

 彼女は通話ボタンを押して電話を切ろうとしたが、彼女自身の声がすんでのところで止める。

「ねえ」

『何? スズ』

 スズは、痛む膝をさすりながらダイニングテーブルに戻り、自席につく。

「そういえば、金額って、何でわかるの?」

『玄関に給与明細がないかしら? 受け口に金額が書かれた紙があるはずよ』

「わかった」

 スズは一葉の紙を手に、ダイニングテーブルに戻ってきた。

 彼女の黒い(ひとみ)に映ったその紙には、目を疑うほどの金額ばかりが並べられていた。

「——って、何これ? ホント、日本の国家予算とかって、どうなってるの……?」

 スズは急に、自分の口の中に染み込んできた(つば)を、ゴクリと飲み込んだ。それに、なんだか、両手の手のひらも汗ばんだみたいだった。

 彼女はもう一度、唾を飲み込んでから、その破格の金額を口に出した。

「パイロット基本給付金が三千万円。うわ……こんな金額のお金、もらえないよ……」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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