↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
197/265

カエデとの電話

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 自室に戻ったスズは、ズボンの左ポケットから携帯電話を取り出す。

 携帯電話から五回目の呼び出し音がなったとき、相手は電話に出た。

 その凛(りん)とした静かな声は、彼女の耳の奥に届く。

『はい。久遠(くおん)です』

「もしもし、久遠さん」

『スズ? 一体どうかしたの?』

「今、話してもいい?」

 カエデの足音が聞こえる。それに、自動車の走行音や、歩行者信号機のぴよぴよとの効果音も、彼女の黒い携帯電話から漏れる。

『ええ、平気よ。家に帰る途中だから』

 邪魔しちゃったかな? しかしスズは、少し微笑(びしょう)をする。

「手紙ありがとう。久遠さん」

 カエデは歩行者信号機を渡っているのか、ぴよぴよという効果音が、だんだんと携帯電話から遠ざかっていく。

 彼女は、ふふっ、と笑い、スズに尋ねた。

『一応、書き置きを残そうと思ったのだけれど、嫌じゃなかったかしら?』

 スズは首を振る。

「ううん。初めてもらったから嬉しいよ」

 多分、カエデは、金属でできた階段をカンコンと上っているはずだ。

『それはよかったわ。あなたは、もう部屋に戻ってるの?』

「うん。ちょっと、久遠さんと話したくて」

 カエデは、自宅の前で立ち止まったみたいだ。

『そうなの?』

 彼女は、持っていたカバンを漁っているらしい。カバンの金属音がしたときから、少ししても、チリンッチリンッと、何かの金属音がしている。

「うん。あ、サクラさんから、体調大丈夫だって聞いたよ。ホントによかった」

 カエデの声は、一瞬聞こえづらかった。

『あなたにも心配かけたのね』

 だが、携帯電話の奥で、チリンッと、また何かの金属音が鳴ったと同時に、カバンの蓋が閉まるような音も聞こえた。

「ううん。気にしなくていいよ、久遠さん」

 別な、チリンッという音は、ガチャガチャという音にすぐに変わり、ガチャリッと鍵が開く音がした。

 おそらく、カエデが玄関の外開きの扉を開けた音だろう。すぐに、玄関の扉の開閉音が携帯電話から聞こえた。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。