手紙
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
ガチャッと、玄関の扉が開く。スズは、マンションの一室に戻った。
「ただいまー……ん?」
玄関には、黒いスニーカーがあった。
担任の、柊先生の家族が経営する、古本屋に立ち寄った彼女がリビングを覗くと、茶髪の女性が、ソファで薄い掛け布団をかけて眠っていた。
スズは、サクラさん、疲れてるんだろうな……、と思う。
ダイニングテーブルには手紙とともに、ご飯と卵焼きと味噌汁が置いてあった。
「なんだろう? これ」
カエデの字は小さかったが、達筆だった。
〝親愛なる橘スズ様〟
〝ユキから、あなたは家事を任されていると聞いたわ。
いつもお疲れさま。
あなたは教えるのが上手だから、きっとみんなもできるわ〟
〝あなたの友人の一人 久遠カエデより〟
ユキもカエデと同様に字は小さかったが、丸くかわいらしかった。
〝スズへ〟
〝二人と過ごせてよかった。ありがとう〟
〝手紙って、心がこもってるから書いてみて、とてもすてきなものだとわかった〟
〝真白ユキ〟
スズは微笑むと、ダイニングテーブルの椅子に座った。
わざわざ、作ってくれたのかな? すごいなあ。
彼女は紙が気になり、それを裏返す。
あ……。
〝親愛なる橘スズ様〟
〝お伝えしたいことがあるので、ここに追記いたします〟
〝私は、たとえつらく悲しいことがあって、何も食べたくないとしても、命を食べることは大切だと思うわ〟
〝あなたの友人の一人 久遠カエデより〟
久遠さん……きっと、エンジェルが嫌いなのも、つらいことがあったのかな……。
スズは、その追記をぼんやりと眺めた。久遠さんのことも、真白さんのことも、私は何もわかってなかったんだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




