戦争を起こすには理由がある
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
医務室への帰路に着くスズは、途中で合流したユキとなにげない会話を、時々していた。聞けば彼女は、医務室に寄る途中だと言う。スズが聞くところによると、彼女もカエデと同じく、定期検査の予定があるらしい。
しかし、スズは、彼女の覚悟のような言葉を思い出し、ユキを横目で見て尋ねた。
「どうして、真白さんは、ウーゼに乗ってるの?」
ユキは一瞬考え、答える。
「償いだから」
「そうなんだ……」
「でも、あなたたちと出会って、嬉しいことが増えたの」
「私はあのとき、真白さんにも助けられたよ。ずっと真白さんに、ありがとう、って伝えたかったんだ」
ユキは少し驚くと、不思議そうにスズに尋ねる。
「今、伝えてるけど?」
スズは気がつくと、はにかんだ。
「そうだね」
また少し沈黙が訪れる。
スズは話す内容を探したが、ふと口に出す。
「ありがとう。話、聞いてくれて」
彼女は、ううん、と首を横に振る。
「スズの話を聞くのは好きだから」
スズは少し驚き、ワンテンポ遅れてうなずきながら、ユキに返事をする。
「あ……うん」
好き、か……。初めて言われたな。そんなこと……。
「真白さん。戦争は嫌い?」
「私? 戦争を体験することが嫌いということ? それとも……戦争を起こす人間が、スズは嫌いなの?」
「両方。でも、戦争を起こす人はきっと何か理由があったと思うんだ。たとえ、戦争を起こしたとしても」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




