医務室の会話3
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「ハルト。夜、眠れてる?」
「いや、最近ずっと眠れていないな」
スズは思わず、眉根をひそめた。
「げ……ちゃんと寝てよ」
「寝てるよ。一応はな。だが、すぐに目が開くんだよ」
「なんか、お医者さんから、薬もらってそうなんだけど……」
ハルトは灰色の瞳を、丸くさせた。
「なんでわかるんだよ? 女の勘ってやつか?」
スズはまた、もろ手を唇に当てた。
「うっそ? ほんとに?」
「薬を処方されてもされなくても、眠れないからな。それに、仕事をしていると気が紛れる。読書しても、数学のこと考えてもだ。なんでも物事を考えていたほうがいい」
「その本、読んだ?」
スズは、ハルトが置いた、茶色いチェストの二冊の文庫本に指さした。
ハルトは、んー、と短い襟足をかく。
「どうだったかな? 読んでいないかもしれないな」
それから、彼はまた、カエデの眠っている顔を眺めた。
そして、声をひそめた。
「よく寝てるな」
「きっと疲れてるんだよ。ハルトも寝たら? 隣のベッドで」
「わかってるよ。ありがとな、スズ」
ハルトはそう言うと、おとなしくカエデの隣のベッドで仰向けになりながら、読書を始めた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




