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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
183/260

『人類再生計画』

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



「なんで、俺にもカエデにも優しいんだよ?」

 ユキは少し考え、答えた。

(つぐな)いだから」

 ハルトは、少し唇を噛んだ。

「……ユキ、知ってるのか? 人類再生計画のこと」

 灰色の(ひとみ)は、燃えるような赤い瞳を見()えた。

「じゃあ、俺は行くから」

 それから少しもしないうちに、灰色の瞳を持つ青年は、少女に思い出したように伝える。

「あ、アオは釘刺されたから、当分うろちょろと部下たちに嗅ぎまわったりしないだろ。俺ら怒られたんだよ。議長に」

「彼、とても怒っていなかった?」

「ああ……いや、とてもじゃないが、ユキに聴取したって議長から言われたときは、わりと怒っていたな」

「もう彼は、その施設を破壊できる力を持っていないということ?」

 その施設というのは、当然、イギリスに存在するノヴァ本部のことである。

 ユキがその意味を含めて尋ねると、ハルトは首を横に振る。

「それはわからない。力は抑えてるって言ってるけど……おまえは?」

 ユキもハルトと同じく、首を横に振るが、彼女の胸までの長髪がサラサラと流れる。

 それは、内廊下の天井の電光に照らされて、白い色をさらに際立(きわだ)たせていた。

「わからない。でも、私は大切な存在がなじられたり、暴力を振るわれたりしていると、とても嫌な気分になるから。そのときは使ってしまうかも」

 ユキはふいにハルトに向かって、顔を上げた。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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