ハルトの気遣い6
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
スズは、ユキをちらりと見てから目をそらす。やっぱり、リリムと似てるけど……でも、真白さんは、どこかリリムとは違うな……。
スズは、前につぶやいた彼女を少し思い出していた。
「スズは温かい。私の心も暖かい」
私は、真白さんやみんなのことを知らないって気づいたんだ。久遠さんも……。
「ねえ、久遠さん、大丈夫なのかな?」
「大丈夫って?」
「あ……私がいるとすぐ部屋出ていっちゃうし、ほら、この間だって、具合悪そうだったし……」
ハルトはあごに左手を当てる。
「スズ。それ、気にしすぎじゃないか? なんつーか、人の気持ちを優先しすぎてるよな」
スズは一瞬驚いたが、膝を抱えて顔をそむける。
「それもいいけど……でもそれって、いいことなんてないからな?」
いいこと? 何が?
「なんで?」
「疲れないか? それ」
「え……?」
ハルトの顔は、いつもより真剣だった。彼は、眉をひそめているわけでもなく、ただまっすぐに、スズを見ていた。
「ずっと引きずってるのは、疲れないか?」
「……考えちゃうんだ。どうしても」
「そっか……。真白さん、ハルト。久遠さんって、どんな人なの?」
「エンジェル嫌いな、努力家の2号機パイロット」
「カエデは、どこか心が暗くなる表情をしてるときがある。だから私は、カエデの力になりたい」
やっぱり、私は、久遠さんのことを知りたい
「ちょっと、行ってくる」
ハルトは立ち上がったスズを見る。
「ああ、わかった」
「うん。ありがとう、二人とも」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




