ハルトの気遣い5
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
ユキは、ウーゼに搭乗している回数を把握していないスズに対して、ウーゼ開発研究主任(林サクラ)が搭乗する回数が多すぎると叱りつけた、と話を聞いた。
ちなみに、林サクラは、特技がある。それが、ウーゼの知識量やその応用だ。それらなら、彼女の右に出る者はいないとされているほど、彼女の知識は奥深い。
もし、ウーゼ検定というものがあるならば、彼女は世界中の研究員とも張り合えるかもしれないのだ。
スズは髪をかきながら、視線をうろつかせている。彼女自身、叱られる雰囲気も気まずさも慣れないのだ。
「ごめん……」
ハルトが怪訝そうな顔をした。
スズは髪をかく手をとめ、彼に尋ねた。
「え……どうしたの?」
ハルトは、左手をあごに当てる。
「そういや、報告書に記載されている5号機の搭乗回数がやけに多いな、なんて思ってたんだが……そうだったのか」
「あ……ごめん」
「いや。スズでよかったよ」
だが、ハルトは少し不思議そうな顔になる。
「でも、十三回なんて、よっぽどだよな」
「え? 十三回?」
「本当に知らないのか?」
スズは、不思議そうな表情をしながらだがうなずく。
ハルトは少し髪をガリガリとかいた。
「搭乗回数」
それから、スズに指をさして彼の顔を見た。
ハルトにつられて自分自身を指さしたスズは、気まずさからギクリとなったが、また首を触る。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




