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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
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ハルトの気遣い4

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



「い……いつから?」

 ユキは少し驚いているような、恥ずかしそうな表情をする。

「……スズが私のベッドを間違えたって、ハルトが言ってたところから聞こえてた」

 つまり、つまり、さっきのことを真白(ましろ)さんに全部聞かれてたってこと⁉ 

「……ねえ、ハルト?」

「ん?」

 スズは、ハルトに呆(あき)れたように大声を出す。

「ん? じゃないよ! なんで言ってくれなかったのさ? 意地悪のつもり⁉」

「いや……言ったら、面倒くさいことになるだろうな、って思ったから……」

 スズは、ハルトの肩を激しく揺さぶる。

「そういうことは、先に言ってよ⁉」

 ハルトは両手を胸の前に出して、落ち着け、という姿勢をとっている。彼の右手首に着けられた、銀ベルトの腕時計は高級そうだった。それは、白いアラビア数字が円上に規則正しく並ぶ、青い文字盤だった。

「わかった、わかった。悪かったって。もうしない」

 スズは、ハルトの肩を揺さぶるのをやめ、訝(いぶか)しげに首をかしげる。

「ホントに?」

 ハルトは、ああ、と言った。

「その時計、高そうだね」

 スズは唇を尖らせたまま、ハルトの高級そうな腕時計に目をやる。

「ん? ああ、これな。もらったんだ。プレゼント」

 だが彼はどこか寂しそうに言ったあと、その高級そうな時計に向かって悪態をついた。

「——たく、あの人、ホントに世話のやける人だったな……。まあ、前の室長だよ」

 それから彼は、近づいてきたユキを見る。ユキは状況が落ち着いたと判断したのか、スズの隣に座る。

「スズは、この間から私のことを避けてるから、嫌いなのかなって思った」

 ユキが体育座りをすると、少し背中が丸まり、その両手は膝(ひざ)の少し下で組まれる。

「え? 嫌い?」

 スズは、ユキの不思議そうな表情を見る。

「違う?」

「うん。違うよ? それに、なんで、私が真白さんを避けるの?」

「スズは、ここ数日どこに行ってたの?」

 スズは、髪の後ろをかきながら答える。

「5号機なんだ。でも、あのあと、こっぴどく怒られちゃって……」

 ユキがまた尋ねる。

「あのあと?」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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