ハルトの気遣い3
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「わ、悪い。忘れてた。というか、スズ」
ハルトは、肩を落とした。
「出会って数日の女子のベッドを間違えたなら、しょうがないけどさ。それでもさすがに、寝たりはしないからな?」
げほげほとせき込んだスズは、また大声を出しそうになった口を閉じ、驚いた顔をハルトに素早く向ける。
スズは半分、〝聞きたくない〟と思っていたが、震えた声で尋ねた。
「それ、なんで、なんでハルトが知ってるの?」
一瞬、ハルトは、別の方向を見ると驚くが、すぐに、スズのほうに顔を向き直す。
スズは小首をかしげて、彼に問う。
「ハルト?」
「ああ、ごめん。で?」
途端に、彼女は、機嫌が悪そうな顔をした。
「さっき、どこ見てたの?」
「いや、なんでもない」
「あ、あのさ。さっき、夢の中で、ハルトが出てきたような気がするんだ」
「え? ああ……お、おう……」
ハルトは驚いたように首肯すると、恥ずかしそうに襟足をかき、歯切れが悪くさせて先を進める。
「それで? その……夢の中の俺は何をしてたんだ?」
「忘れた。けど、なんか叫んでたよ。多分、あれは〝実験〟のときだと思う……」
スズは語尾の声をいつもより小さくさせて、顔をうなだれた。
ハルトは無言で、彼女の背を撫でる。今度は、スズがそれに驚いたが、彼にされるがままになっていた。
彼女はか細い声で、彼にお礼を言う。
「ありがとう……」
急に左手を離したハルトは、口に手を添えて、誰もいないはずの曲がり角に呼びかける。
「ユキ。嫌われてないって。だから、早く来いよ」
「え?」
スズが見ると、ユキが壁に手を添えながら立っていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




