ハルトの気遣い2
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
そんな室長の思案もよそに、スズは自分より三歳年上のハルトを眺める。サクラさんも、確か、指令室で働いてたよね?
ハルトは指令室室長と聞かされていたので、初めて彼の口から聞いたときは、高校生の彼がすでに職に就いていると知って、スズはとても驚いた。
スズは一人で感心するように、ぼんやりと、黒スーツ姿のハルトを見ていた。しかし、年若い彼の目の下には、クマが浮かんでる。
ハルトは、スズとの会話の内容を探るように、あごに左手を当てていた。
「あ、スズ。こないだのエンジェル、倒せてよかったな」
「うん……ハルトも知ってるんだね」
スズは、ハルトが、この間のエンジェルを知っていることに、少しも疑問を思わなかった。
すぐに、固定電話で話したことをふっと思い出したのと同時に、サクラが言っていたのを思い出した。
「あ、ハルトが決定案を書いたの? そうだよね?」
スズが遅まきながら思い当たると、彼女の持っていたペットボトルが、鈍い音をたてて床に落ちた。スズから、手の力が抜けたからだ。
「もう少し簡単なのにしてよ。なんであんな難しいのにしたの?」
「いや、二人ならできると思ったんだよ」
ハルトは、ペットボトルを拾う。
「ほら」
スズは残念な顔をしたあと、ぶすくれた。できると思って? ええ、難しかったのに……。
「ありがとう。でも、なんとかだけどね……」
「もしかして、すねてるのか?」
「別に」
ハルトから顔をそむけたスズは、ペットボトルのキャップを開けて水を飲む。
「あ! ていうか、私に、サクラさんたちと同居するって言うの、忘れてたでしょ?」
ハルトは思い当たった顔をすると、黒髪をかいた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




