決意
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
濃紺色のそれは、スズに手を差し出す。
だが、しかし、スズは目を見開いて、体を強ばらせる。彼女は、左側に両足を寄せたまま、奥歯を噛みしめていた。喉がカラカラに乾いて、唾も満足に飲み込めなかった。
濃紺色のそれから、スピーカーで通したような声が聞こえる。
『平気よ。あなたに危害は加えないわ。私は、あなたを最優先に保護するから』
その声は、自分と同じ年頃の少女の声に聞こえた。
凛としているが、どこかで聞いたことあるような声だった。
ようやく、スズは、乾いた喉から声を出すことができた。
「だ……誰?」
少しの間があってから、また凛とした声が応える。
『ごめんなさい。今はあまり時間がないの』
スズは、ハッと、濃紺色のそれを見た。
巨大な左手は、看板から自分を護ってくれたので、とどまったままだ。しかもあれは、右手を差し出し、まるで、自分を助けようとしてくれるのではないか。
外部スピーカーを通じた、凛とする声は言葉を継ぐ。
『乗りたくなければ、降りてもいいわ。私が、全てせん滅するだけだから』
スズは、握った拳を胸に当て、自分の心臓の鼓動を無意識に確かめていた。
だが、深く息を吸って吐くと、彼女は、濃紺色の巨大な右手に乗った。
ググッと、浮遊感が襲ってくると、スズは、その手のひらにへたり込んだ。アオは慣れた様子で、右足を一歩踏み出す形で、そこに重心をかけていた。
また彼女が、握った拳を胸に当てると、いつもより少し早くなっている鼓動が感じられた。自分の視界が、こんなに目まぐるしく動くなんて怖い、と彼女は感じた。大丈夫、大丈夫……。
濃紺色の頂上にたどり着くと、棒のようなものの上部が開け放たれていた。
スズは、決意して乗り込むと、つかの間、何も考えられなくなった。中に入ると、自分の足がしびれたからだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




