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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
初戦 出会い
18/260

決意

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 濃紺色のそれは、スズに手を差し出す。

 だが、しかし、スズは目を見開いて、体を強ばらせる。彼女は、左側に両足を寄せたまま、奥歯を噛みしめていた。(のど)がカラカラに乾いて、(つば)も満足に飲み込めなかった。

 濃紺色のそれから、スピーカーで通したような声が聞こえる。

『平気よ。あなたに危害は加えないわ。私は、あなたを最優先に保護するから』

 その声は、自分と同じ年頃の少女の声に聞こえた。



 (りん)としているが、どこかで聞いたことあるような声だった。



 ようやく、スズは、乾いた喉から声を出すことができた。

「だ……誰?」

 少しの間があってから、また凛とした声が応える。

『ごめんなさい。今はあまり時間がないの』

 スズは、ハッと、濃紺色のそれを見た。

 巨大な左手は、看板から自分を(まも)ってくれたので、とどまったままだ。しかもあれは、右手を差し出し、まるで、自分を助けようとしてくれるのではないか。

 外部スピーカーを通じた、凛とする声は言葉を()ぐ。

『乗りたくなければ、降りてもいいわ。私が、全てせん滅するだけだから』

 スズは、(にぎ)った(こぶし)を胸に()て、自分の心臓の鼓動を無意識に確かめていた。

 だが、深く息を吸って吐くと、彼女は、濃紺色の巨大な右手に乗った。

 ググッと、浮遊感が襲ってくると、スズは、その手のひらにへたり込んだ。アオは慣れた様子で、右足を一歩踏み出す形で、そこに重心をかけていた。

 また彼女が、握った拳を胸に当てると、いつもより少し早くなっている鼓動が感じられた。自分の視界が、こんなに目まぐるしく動くなんて怖い、と彼女は感じた。大丈夫、大丈夫……。

 濃紺色の頂上にたどり着くと、棒のようなものの上部が開け放たれていた。

 スズは、決意して乗り込むと、つかの間、何も考えられなくなった。中に入ると、自分の足がしびれたからだ。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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