窓ガラス
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
スズがまどろんでいた夢は、そこで途切れた。彼女は勢いよく体をベッドから起こす。そして、胸の辺りを自分でつかむと、制服のワイシャツがシワになる。び、びっくりした……!
「ここは……」
ソファには書類が山積みになっていた。棚には、薬瓶とおぼしきものがガラスの奥に陳列していた。
「医務室?」
この場所は、ノヴァ日本支部内部にある医務室だ。そういえば、誰かに支えられてここまできた気がスズにはした。
「サクラさん、いないのか——」
そういえば……。
窓は、船の帆のようにカーテンがはためいており、窓ガラスが見え隠れしている。それを見たスズは、少し荒い呼吸をするが、呼吸を整えてから膝を抱えた。
彼女は途端に、この場所から逃げたくなった。
いつも自分は、嫌なことを思ってばかりだから。
スズは、ベッドから立ち上がると、少しふらつきつつも扉に向かうが、立ち止まる。
「あ……久遠さん?」
彼女の顔は見えなかったが、寝息は聞こえているので、とりあえず、スズはホッとする。彼女は、カエデの近くにあったチェストに書き置きをしておく。
ソファに置いてあったカルテを見たが、ふいと顔をそむけた。
シュコンッと、自動扉が閉まる。
あとは、せみの声しか聞こえなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




