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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
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窓ガラス

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 スズがまどろんでいた夢は、そこで途切れた。彼女は勢いよく体をベッドから起こす。そして、胸の辺りを自分でつかむと、制服のワイシャツがシワになる。び、びっくりした……! 

「ここは……」

 ソファには書類が山積みになっていた。棚には、薬瓶とおぼしきものがガラスの奥に陳列していた。

「医務室?」

 この場所は、ノヴァ日本支部内部にある医務室だ。そういえば、誰かに支えられてここまできた気がスズにはした。

「サクラさん、いないのか——」

 そういえば……。

 窓は、船の帆のようにカーテンがはためいており、窓ガラスが見え隠れしている。それを見たスズは、少し荒い呼吸をするが、呼吸を整えてから膝を抱えた。

 彼女は途端に、この場所から逃げたくなった。

 いつも自分は、嫌なことを思ってばかりだから。

 スズは、ベッドから立ち上がると、少しふらつきつつも扉に向かうが、立ち止まる。

「あ……久遠さん?」

 彼女の顔は見えなかったが、寝息は聞こえているので、とりあえず、スズはホッとする。彼女は、カエデの近くにあったチェストに書き置きをしておく。

 ソファに置いてあったカルテを見たが、ふいと顔をそむけた。

 シュコンッと、自動扉が閉まる。

 あとは、せみの声しか聞こえなかった。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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