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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
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〝実験〟

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 スズの(のど)は、すでに乾いていた。

「どうして……どうして、真白(ましろ)さんが助けられなかったの? なんで?」

 ユキは、うつむいた顔を上げて少し驚く表情をする。だが、スズは、なぜユキが驚くのかわからなかった。

 スズには、そんなユキの表情は初めてで、また頭の中に疑問が次々と浮かんでいた。

 今度のユキは、少し顔をうつむかせて(くちびる)を少し噛む。



「〝実験〟」



 一瞬、何も音が聞こえなかった。

 スズは息を飲んで彼女の言葉を繰り返そうとするが、いまだに喉が乾いていて、唾を飲みこんだ。また言葉を詰まらせながら、ユキに問いかける。

「〝実験〟……なの? なんで、どうしてあのとき、リリムは私を助けたの?」

 再び訪れた沈黙のあと、ユキは続ける。

「あなたを助けたかったから」

「私を? でも……」

 スズを遮ってユキは続ける。

「私は、存在が消えてもいい。だから」

 それからのユキは、誰かに話すようにつぶやいた。

「ダメ。あなたは消えてはいけない。ごめんなさい」

 ユキの唇は、小さく言葉を紡ぐ。

 スズには、その〝ごめんなさい〟は、どこか(はかな)げで泣きそうな声に聞こえたような気がした。目の前の少女が〝真白ユキ〟ではなく、知らない彼女に見えた。

「真白さん?」

 ユキは、まっすぐスズを見る。少し伏せ気味だったユキの瞳が、スズの瞳に焼き付く。

 彼女の瞳は赤だ。燃える炎のような赤い色、もしくは宝石のような色だ。

「ん? どうしたの?」

 スズの疑問に答える間もなく、ユキはまぶたを閉じた。

 彼女は、グラリと倒れた。時間は数分だったが、スズには数時間に感じられた。驚いたスズは、慌てて、ユキの体を抱きとめた。

 彼女は必死に、ユキに呼びかける。

「真白さん? ねえ、真白さん? 誰か……誰か呼ばないと……」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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