↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
167/260

助けられなかった

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 スズはうなずき、少し()せ目になったユキの顔を見るが、それはいつか会ったあの白髪(はくはつ)の少女に、どこか似ていた。だが、自分自身の心臓が嫌に大きな音を鳴らす。

「謝らなくていい」

 リリムは、スズの頭を撫でようと手を伸ばしてくる。

 スズは息が詰まった。両親が消えたように、私も消えるのだろうか、と彼女は考えた。

 スズが彼女の手を避けるようにすると、カエデにぶつかった。

「ご、ごめんなさい……」

 頭の中では、疑問が浮かんでいた。



 なんで? なんでまた思い出すんだろ……? スズが箸をおざなりにした手や、彼女の今のつらそうな表情は、ユキには不思議に思えた。

 気になったユキは、スズに尋ねてみた。

「スズ。どうしたの?」

 スズは、顔をうつむかせながら眉と唇の端を少し下げている。

「ううん。なんでもないよ」

 壁時計が、秒針をカチコチと鳴らす。

 スズは黙った彼女をふいに見ると、ユキは顔をうつむかせていた。

真白(ましろ)さん? どうしたの?」

 ユキはおもむろに、その小さな口を開いた。



「……ソウマに会ったことがあるの」



 それって——お父さんの名前⁉

「な、なんで⁉」

 スズが勢いよく席から立ち上がると、プラスチック食器の金属音がした。その勢いのまま、スズはユキの細い肩を強くつかむと、ユキは少し驚きながら、彼女を見つめる。

「ねえ、教えて! どこでお父さんと会ったの⁉」

 ユキの話にすがるスズに対し、彼女はひとつ呼吸をすると、話を始めた。

「ソウマに会ったことがあるの。でも……」

 ユキの言葉はそこで詰まった。彼女は迷っているらしかった。

 スズは、ユキの肩をつかんでいた、もろ手をそっと離した。今はユキへの心配もあったが、それより、自分の両親の話を聞きたい気持ちを優先してしまった。

「でも……?」

 スズは、ユキに尋ねる。

「でも……助けられなかった」

 そう言ってユキはうつむいた。長く白い髪がはらりとなる。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。