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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
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食事

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 扉からぼんやりと、ノックが薄く聞こえる。

 すでに自分の体温で温まった布団の中で背中を丸めているスズは、もう一度、扉のノック音を聞く。

「……スズ?」

 扉の向こうから、かすかにユキの声がしたときには、スズの頭は、ぼんやりと起きた。真白(ましろ)さんの声……? 

 寒気を感じていたスズは、まだ眠いまぶたをこすりながら扉へと向かう。いつの間にか、寝てたのかな……? 

 スズがあくびとともに、ドアノブに手をかけて扉を開ける。自分よりも少し背の小さいユキが、ちょこんと立っていた。

 スズは驚き、ぱちくりと(まばた)きをする。

「真白さん。どうしたの?」

「眠ってたの?」

 スズはうなずいた。

「多分、いつの間にかだと思う」

 少し身震いをした彼女の後ろでは、カーテンが(ひるがえ)り、やっと気がついた彼女は窓を閉めに行く。

「食事」

「え?」

 スズがキッチンへと向かうと、流し台にフライパンや菜箸(さいばし)などが置いてあり、それは、すでに洗ってあるようで、テーブルの上にあるのは、二人分の食事だった。

「これ、真白さんが作ったの?」

 ユキはうなずき、ふせんを貼った料理本をスズに見せる。

 彼女は少し呆気(あっけ)にとられた。

「? ——スズ、食べないの?」

「あ、うん。食べるよ」

 二人はダイニングテーブルに向かい合って椅子に座ると、ほぼ同時に手を合わせる。

「いただきます」

 ユキは無言だったが、両手をきちんと合わせた。

 スズの目の前にあるのは、ご飯に卵焼きだ。彼女はそれを少し眺める。おいしそう。ていうか、料理作れるんだ……なんか、意外だな……。そう思いつつも卵焼きをひと口食べると、温かい温度とふわりと香る匂いが口の中で広がる。あ、醤油(しょうゆ)と、なんか出汁が入ってる? 

「これ、おいしいね」

 ユキはこくりとうなずく。

「よかった」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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