羞恥
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
女子生徒たちは、あはは、と笑う。
「ねえ? スズちゃんのところは、誰か来るの?」
「あ、私とユキはサクラさん――知り合いのお姉さんが来てくれるから平気だよ」
「あれ? お母さんは?」
「あ……えっと、私いないから」
スズはそう言って顔を伏せたが、また顔を上げた。
「でも、もう二年も前のことだし、大丈夫だよ。平気だから。ごめん、私、先帰るね?」
「あ、真白さんは……」
女子生徒から言われるが、スズは早口で答える。
「多分、先に帰ったんだと思う。私、久遠さんと帰るから」
ユキと帰るのも楽しいが、たまには違う友人と帰りたかったスズは生徒玄関を出て、足早に向かう。『滝海高等学校』の近くに向かった。正門に着くと、スズは早速、自分より年上の女子高校生に声をかけられた。
「わっ、かわいい。ねえ君、中学生?」
「あ、はい。まあ……。あの、お姉さん、久遠さん知ってますか?」
「久遠さん? さあ? ごめんね。同じクラスじゃないから、私わかんないや」
「そうですか。ありがとうだざいます」
スズが会釈をすると、彼女はにっこりと笑った。
「ねえねえ、暇ならさ、ちょっと付き合ってよ」
「はあ……あ、すみません。電話しますね」
「どうぞどうぞー」
スズは、日本支部から支給されているスマートフォン型の携帯電話を操り、目的の番号を探し当てる。
『スズ。何があったの?』
「あ、久遠さん。今どこ?」
『本屋よ。あなたは?』
「あの……一緒に帰ってもいい?」
『いいわ。でも、ユキは?』
「え? ユキ帰ったんじゃないの?」
『さっき電話したんだけど、〝スズがいないから一人で帰った〟って言ってたわ』
「あ……」
スズは、すぐに自分の己の行動を恥じた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




