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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第三戦 他人との距離
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スズとユキと、シノ

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 スズは自席で、目線を斜め下に向けた。

「ていうか、それ、そのあと私が(おぼ)れたよね?」

 ユキは、乱れた白髪を手ぐしで直している。

「スズが誘ってくれてよかった」

 スズはくすくすと笑った。

「髪、ボサボサになっちゃってるよ」

「ん……」

 ユキは真顔になると、不思議そうに尋ねた。

「スズ、よく笑ってる。なぜそんなにおかしいの?」

「違うよ。真白さんが面白いからだよ」

「面白い?」

 ユキはまだ、手ぐしで髪を撫でつけている。

「髪、全然直らない……」

 スズはふっと笑うと、リュックサックの中を探したが、それから、残念そうにユキを見る。

「あ、ごめん。私、くしもってないや」

 張りがあるが、今は静かな声がスズに呼びかけた。

「あるよ、スズさん」

 声の(ぬし)はシノだ。シノは、茶色い()のくしを手に持っている。みるからに、木彫りで、しかも高級そうなくしだった。

「え? いいの? シノ? 借りていい?」

 シノは丸眼鏡を押し上げると、にこやかに笑みを、その顔に浮かべた。

「どうぞ」

「ありがとう、シノ。うわあ。これ、きれいだね」

 シノから借りた、くしの持ち手には、小さく花柄が()られている。

 スズは、ユキにくしのことを説明しようとしたが、椅子に座った彼女は、早くといてほしそうだったので、あまり説明せずに彼女の髪を()いた。

 彼女は、透明なピルケースを取り出す。

「ん……それ、飲まきゃダメなのかな?」

 スズが問うと、ユキは首肯した。そのあと、彼女は、水とともに錠剤を飲む。

 シノが不思議そうに彼女に話しかける。

「ねえ、ユキさん。どこか体の調子悪いの? 風邪?」

「平気、シノ。これは、一日のどこかで飲めばいいから。今日は午後忙しいから、今飲む」

「……何かあったら、言ってね?」

「平気。シノもスズも、いいヒトだから」

 シノはくすりと微笑(ほほえ)む。

「わかった」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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