プール3
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
ユキは小さく口を開いた。
「深淵は底がわからない。だから、おそろしい」
スズは笑うのをやめると、不思議そうに言う。
「それ、何? 聖書の話?」
ユキは、スズの黒髪に手を置いた。
「真白さん……」
スズは赤くなった頬を隠すように、顔をうつむかせた。彼女は美人なユキに髪を撫でられる間、その行為が恥ずかしかったのだ。
真白さんって、私のこと、ちっちゃい子か何かだと思っているんじゃない? って、時々、思うんだけど……、とスズは、彼女を見た。
「真白さん……頭撫でるのやめてくれない?」
「嫌なの? わかった」
「いや、そうじゃなくて……」
スズがもろ手を振ると、ユキは小首をかしげた。
「私のこと、ちっちゃい子だと思ってない?」
「幼いときでも、今も、スズはスズ。あなたは素直なままなの」
スズがうつむくと、彼女の鎖骨が見えた。ユキはカエデと同様、体が細いのだ。そして、彼女は、プールを見た。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




