プール2
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「ねえねえ、本とか読む?」
彼女が尋ねると、ユキはこくりとうなずく。
また彼女は、ユキに尋ね返した。
「どんな本?」
「いろいろ見る。聖書や、恋愛の本とか」
「へえ、結構、ジャンル広いね。ていうか、真白さんって恋愛の本見るんだ。見ないかと思った」
「そう?」
ユキは少し考える。
「スズが、私の違う一面を知らないだけ」
「そうだよね。……なんか、真白さんって深いこと言うよね?」
「このプールのように?」
「何それ?」
スズはくすくすと笑う。
ユキは、プールで遊ぶクラスメイトたちを眺める。
今は授業が終わり、自由時間だ。
色とりどりの水着を着ている女子たちは、互いに水をかけ合って甲高い声を出し合っている。または泳ぎの競争をしている。
泳ぐ彼女たちは、今日、アイスクリームをかけて競争をしているみたいだが、スズとユキは食べたことはない。彼女たちに聞いたところ、甘いスイーツらしい。スズもユキもそれをおいしそうだと思うが、食べる機会がないだけだ。
男子たちは、そんな彼女たちを遠巻きに見ているだけだ。
「アイスって、おいしいのかな?」
「食べ過ぎると太るかも」
ユキがまたひと言言うと、スズはまた、くすくすと笑った。
「それなら我慢しなくっちゃ」
「食べ過ぎなければ平気。それに、甘いものはおいしい」
「真白さん、甘いもの好きなんだね」
ユキは緩やかに、首を横に振った。
「私、好きな気持ちが、あまりわからないの。だから、その気持ちを素直に言えるスズは、私はすてきだと思う」
スズはふと、ユキがどんな気持ちでこの光景を眺めているのか、知りたくなった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




