プール
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
その日は、プールの授業があった。
スズはプールから上がり、水中キャップと眼鏡を外すと、一人でプールサイドに座るユキのそばに座った。ユキは白い水着を着て、体育座りをしているが、スズに顔を向けた。
「あ……スズ。どうかしたの?」
「おしゃべりしに来たんだ、真白さん」
その名目もあるが、スズには、プールサイドに座るユキが一人でいるのが、なんとなく彼女の目についたからだ。
スズは、水色の水着を着ている。そして、彼女は、ユキと同じ格好の体育座りをする。
「ねえ、その水着買ったの?」
「これ? サクラに、買わないとダメだよ、って——要するに、強い押しに負けたの」
「うわ……大変だったね。でも、水泳の授業で、自由に水着着られるのはいいね。釧路だと、水泳の授業あんまりなかったから」
北海道は冬の時期が長いので、夏は小学校のクラス単位で行われる、市民プールに行くしか機会がないのだ。
ユキは、それにうなずいた。
「サクラとの買い物は、学べることがたくさんある。私、休日は制服で行動してたから、サクラに、買ったほうがいいって叱られた。サクラは服のセンスがいいの」
スズはずっと体育座りをしているのもつらいので、両足を左側に寄せた。彼女が楽な座り方だ。
「真白さん。今日はよく話すね」
彼女は、そう? と首をかしげる。
「スズもそれ、自分で選んだの? よく似合ってる」
スズは、はにかんだ笑顔を見せる。
「あ、ありがとう」
ユキは無言で、こくりと首肯する。
「それに……スズは話しやすいから。ナギサと一緒」
「おか……」
スズは、唇を真一文字に引き結んだが、ため息をついて、気を取り直す。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




