美少年&美少女
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
アオは、誰かに腕をつかまれた感覚で今に引き戻された。
「やあ、カエデさん。どうしたの?」
「行くわよ」
カエデはアオの腕をつかんで、正門に向かっていたが、くるりと振り返ると、スズとユキに手を振った。
「スズ。ユキ。じゃあ、またあとでね」
「うん。ありがとう、カエデ。アオくん」
アオは手を振り返す。
「ばいばい。スズ、ユキさん」
昼休みに、スズは、クラスメイトから質問攻めにされて全員に詰め寄られた。
スズは、大勢の視線から逃げるようにするが、彼女は小首をかしげる。
「ええっと……何が聞きたいの?」
すると、男子生徒の一人が、身を乗り出す。
「さっきの美少年&美少女のことだよ! 忘れたのか?」
スズは思い出すように、右斜め上に視線を向ける。
「忘れてないよ。アオくんと久遠さんだよね」
「かっこよかったよな? あの着地!」
スズが、うん、と|首肯すると、今度は女子生徒が問いかけた。
「ねえ、橘さんって、さっきの彼とどんな仲なの?」
「友だちだよ」
「ええ……じゃあ、あれなんだったの?」
スズは、曲げた左手の人差し指をあごに当てる。
「んー……私にもよくわからなかったけど、多分、久遠さんにフェンスを跨いでもらうためのあおり文句、とかかな?」
しかし、彼女は、机上に置かれた革製のカバンを見つめる。
「でも、これ忘れてったよね? ……久遠さん」
カエデは先程着地する前に、スズたちがいたグラウンド側に革製の通学カバンを置いたのだ。それをアオを連行する際に、彼女が置き忘れたのだ。
アオを彼女が連行した、というのは、文字通り、彼女がアオの腕をつかみ、そのまま彼が離れないように、正門まで引きずられるような形になっていたからだ。そして、彼は、カエデにデリカシーのない発言をしたので、彼女にすごく怖い目で睨まれながら、半ば引きずられるように正門に連れていかれていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




