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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
135/261

アオと「変わり者」3



 ヘリポートに、ショウが吸う、たばこの灰がほろほろと落ちていく。

「すぐ否定するのは、自分が正しいと思っている証拠だぞ。一色くん」

「それとも、そのたばこに執着(しゅうちゃく)でもあるの?」

「あのな、なんでもしつこく聞くんじゃねえぞ」

 ショウは、ノヴァ日本支部・屋上のヘリコプターの着陸場に、たばこを革靴で踏みつけた。そして、彼は、灰色の曇った空を見上げて、ため息を吐いた。細く長い彼の息は、生ぬるい夏の風に溶けていった。

「あっちいな。今日も」

 今日は八月の中旬で、夏の盛りだ。今年の八月で、最高気温四十二度は暑いらしい。

「その暑苦しい上着、脱いだら? 熱中症になるよ」

「少年、ホントに十五歳か?」

 ショウは、アオの落ち着き払った態度に疑問を持った。そして、先ほどの「たばこに執着」という言葉も。

「さっき、しつこく聞くな、って——」

 アオが言い終わらぬうちに、ショウは上着を彼に預けた。

「うわっ? 何さ?」

 ショウは子どものように口を聞かずに、さっさと屋上の扉から中へ入ってしまう。

三十路みそじのくせに……」

 アオが憎たらしくつぶやくと、そのつぶやきが聞こえていたのか、ショウはその手首をつかむ。

「うわっ? ちょっと……なんだよ?」

 ノヴァ日本支部の内廊下は、人でざわめいていた。見物人もちらほらいるらしい。

 アオは脇にショウの上着を抱えながら、眉をひそめ、不機嫌そうな顔で内廊下を歩いていたが、アオにはこの司令の背中は、威厳(いげん)と、それに何か背負うものがあるように見えた。

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