アオと「変わり者」3
ヘリポートに、ショウが吸う、たばこの灰がほろほろと落ちていく。
「すぐ否定するのは、自分が正しいと思っている証拠だぞ。一色くん」
「それとも、そのたばこに執着でもあるの?」
「あのな、なんでもしつこく聞くんじゃねえぞ」
ショウは、ノヴァ日本支部・屋上のヘリコプターの着陸場に、たばこを革靴で踏みつけた。そして、彼は、灰色の曇った空を見上げて、ため息を吐いた。細く長い彼の息は、生ぬるい夏の風に溶けていった。
「あっちいな。今日も」
今日は八月の中旬で、夏の盛りだ。今年の八月で、最高気温四十二度は暑いらしい。
「その暑苦しい上着、脱いだら? 熱中症になるよ」
「少年、ホントに十五歳か?」
ショウは、アオの落ち着き払った態度に疑問を持った。そして、先ほどの「たばこに執着」という言葉も。
「さっき、しつこく聞くな、って——」
アオが言い終わらぬうちに、ショウは上着を彼に預けた。
「うわっ? 何さ?」
ショウは子どものように口を聞かずに、さっさと屋上の扉から中へ入ってしまう。
「三十路のくせに……」
アオが憎たらしくつぶやくと、そのつぶやきが聞こえていたのか、ショウはその手首をつかむ。
「うわっ? ちょっと……なんだよ?」
ノヴァ日本支部の内廊下は、人でざわめいていた。見物人もちらほらいるらしい。
アオは脇にショウの上着を抱えながら、眉をひそめ、不機嫌そうな顔で内廊下を歩いていたが、アオにはこの司令の背中は、威厳と、それに何か背負うものがあるように見えた。




