アオの問い
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
アオは赤色が混じった黒い瞳で、サクラを見る。
「……でも、カエデさんって、今どうして生きてるの? あれほどの〝事故〟だったのなら、死んでいてもおかしくなかったよね?」
アオは考え込むように、左手の曲げた人差し指をあごに当てる。
「CPOは液体ガス——酸素が入っていても循環器が壊れれば、それでおしまい」
「はい。CPOは、〝パイロット接続専用液体酸素〟の略称名です。カエデさんは三年間、コックピットに閉じ込められました」
「教えてよ? 林主任。三年間、閉じ込められたコックピットの中で生きた人間はいるの?」
「いえ、いません。しかし、当時の彼女は、昏睡状態にあった、と考えられています」
「そっか。ありがとう」
「いえ……」
サクラは首を振ると、アオは缶コーヒーを飲み干す。
「じゃあ、今度は、イレギュラーの被験者について、誰かに聞こうかな? 教えてくれるの誰かな?」
「あの……」
アオは、ん? とサクラに顔を向ける。その彼女の顔は、少し青ざめていた。
「あまり室長に、負担をかけさせないであげてください。私が答えられる範囲なら、きちんと答えます」
彼はため息をつくと、微糖の缶コーヒーをごみ箱に捨てた。
「今日はこれで引き上げるよ」
アオは、つらそうな声で言った。
「ごめん、主任」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




