サクラの対価
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
サクラは、ある人物に微糖の缶コーヒーをおごっていた。
「これだけでよろしいんですか? 私の対価は。アオさん」
アオは黄色いパーカーに入れていた手を出すと、その微糖の缶コーヒーを彼女から受け取る。
「ありがとう。もちろん、これでも、すごく安いくらいだよ。よかった。あのオペレーターのパソコン借りたかいがあったな」
「最近、調べものが多いとオペレーターたちからも伺っています。どうしてですか?」
「それはさ……」
アオは、微糖の缶コーヒーのプルタブを開ける。
「アカネが、ユキさんを嫌う理由を探ってるから。それにほかのことも」
サクラは、青いバインダーを両手で強くつかむ。
アオは、中の液体をゆらゆらと揺らすようにすると、ひと口飲んだ。
「まあまあおいしいね、これ。で、アカネがユキさんを嫌っている理由の原因は、二〇十一年の『第二次大災害による出撃可能パイロット』なんでしょ」
「はい。そうです。その資料では司令は、当時十五歳——カエデさんは、そのとき負傷しました」
アオは返事をしながら、また微糖の缶コーヒーを飲む。
「ふうん。失礼だけど、林主任って、今何歳なの?」
「二十八歳です。九年前ですので……」
彼女は思い出すように、右手の曲げた人差し指を口紅に塗られた唇に当てる。
「当時は十九歳でした」
「ん? へえ、そんなに若かったんだ。ここの職員って優秀なんだね」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




