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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
128/261

カエデとハルト

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 自動扉からノック音が聞こえると、低い声が聞こえた。

「帰ってきたのか。二人とも」

 スズは、スーツ姿のハルトにうなずく。

「あ、うん。そうだ、ハルト。久遠さんすごいね!」

 そして、彼女は彼に駆け寄る。

「ていうか、スズ、足大丈夫だったのか? けがしてたのか?」

 ハルトに問われた彼女は、もろ手を胸の前で振った。

「あ、あれは……」

 彼女はうなじに手を当てて、苦笑する。

 カエデはスズと一人分空けて、右隣に立った。

「私の独断よ。ああしたほうが移動に効率的だと思ったの」

「ユキにはしないんだろ? 随分(ずいぶん)と、スズに肩入れするんだな」

 灰色の瞳は、黒い瞳を見つめていた。

「あなたも私と同じように、彼女に肩入れをしてるでしょう? 昔、お世話になったヒトがいるから」

 カエデは彼の頬から手を離した。今度の灰色の瞳は、赤い瞳を凝視していたからだ。

「本当に間違えられない問題を間違えたのは、あの二人だ。俺も、おまえも、それをよくわかってるはずだ。おまえは何も悪くない。自分を責めるな」

 ハルトは、カエデに瞳を戻した。

「俺はわかってる。おまえは? カエデ?」

 彼はカエデに、理解するために何をする? と問いかけているようだった。

「私はエンジェルせん滅を遂行する。それだけよ。あなたも許したら?」

 ハルトは、眉根をほんの少しだけひそめた。

「私も、あなたも、ときには問題を間違えることがあるわ。そうでしょう?」

 カエデはユキを見て、それから、また彼を見て、今度は顔をうつむかせた。

「ハルト。彼女は私たちと同じ。私たち、人間のために敵を倒してる。それだけでしょう?」

「スズもな」

「私は……そんな大した役割なんて……」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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