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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
127/260

黒い影

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 スズはまた、カエデに横抱きにされる。

「あの……? 久遠さん?」

「落ちると危ないから、私の両肩をつかんで。それに、舌を噛むわよ」

「あ。ご、ごめん」

 スズは、カエデの両肩に腕を回した。彼女のうなじに、スズのもろ手が触れる。抱かれている彼女は、ずっと、カエデから顔をそらしたままだった。

「あのさ……歩けるから、離してくれない?」

 彼女は遠慮がちに言うが、カエデは飄々(ひょうひょう)と答える。ぶわっと、彼女の黒髪がなびく。

「私、歩くスピード早いの」

「え、そうなの?」

「普通よ。あと……そうね」

 ひゅうっ、とカエデとスズは黒い影に飲み込まれた。スズは三回目だが、まだ自分が影に飲み込まれることは、彼女にとっては慣れたものではなかった。

「素直に嬉しがられるのはいいわね。……ただいま」

 カエデが挨拶をした相手、ユキは床に座っていた。ノヴァ日本支部のこの部屋で、読書をしていたらしい。

 スズは、カエデの影の能力で彼女とともに、ユキのいるこの部屋に直行したということだ。

「おかえり。カエデ。それに……。スズはどうして、横抱きにされているの?」

 スズは首肯する。

「確かに。私もそう思う」

 この二人のやり取りを聞いていたカエデは、スズを素直に降ろした。

「おお……。あ、ありがとう。久遠さん」

 スズはユキに近寄って、そのそばに座る。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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