素直なスズ
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
そして、彼女は少し屈むと、スズに頭を差し出した。撫でてほしい……のかな?
カエデはスズが思ってることをわかったかのようだ。
「さっき、あなたが私の髪を撫でるって言ったのでは?」
「ああ……ごめん。うん。そうだね」
スズがカエデの頭を撫でると、黒髪が指どおりがいいことに気がついた。
「えっ⁉」
スズは、片手で口を覆う。
「めっちゃ髪サラサラだね! え。いつも、何使ってるの?」
カエデは左手をあごに当てた。
「シャンプー……普通にスーパーで売っているものよ。私は『シルク』って言うシャンプーを使ってるわ。でも、そんなにいい?」
彼女は小首をかしげた。
スズは上気した顔で彼女を見る。
「うん。いい。めっちゃいい」
「あと……」
スズは小首をかしげる。
「あと?」
カエデは左側に顔をそむけた。
「こんなにも、触れられることって温かいのね」
スズは彼女に己の心臓を強くつかまれたような感じがすると、彼女をぎゅっと抱きしめた。
「え? あ、あの……?」
カエデは、もろ手を上げていた。スズに急に抱きつかれたから、驚いたのだろう。
スズは目をつぶりながら、カエデの耳元で叫ぶ。
「ごめん! でも、ぎゅーってさせて!」
「え……ええ。私でよければ……」
しかし、スズは抱きしめているカエデ以上に混乱をしていた。うわ、めっちゃ、いい匂いするー! まじか⁉ 年上すごっ! あと、関係ないかもだけど、腰細いなあ……。
スズは彼女の腰の細さに驚きながら、笑顔を作る。
「じゃあ今度、真白さんとハルトの髪撫でで、抱きしめる! もちろん、久遠さんも!」
カエデは、ふっ、と微笑んだ。
「あなたって、素直なのね」
「んん……口に出されると、なんかすごく恥ずかしいね——」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




