必ず護る
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「え?」
二回目の問いかけたスズの返事は、少しうわずっていた。
「久遠さんにそんなことした? 私が?」
カエデはうなずく。
そのとき、ぶら下がっている受話器のノイズが混ざった。
『ガッ——ザザッ』
受話器に気づいて、それを固定電話の金具に戻してから、スズは、慌ててカエデに否定する。
「多分、気のせいだから! そう、気のせいだから!」
だが、そのスズの脳裏には、昨日のおぼろげな回想が思い出される。
スズは、かぁっと、頬が熱くなるのを感じたが、カエデを見る。
「い、いや、あの! あれは違うよ、久遠さん! だって、気づかなかったんだってば!」
カエデは、静かな声で、スズの言葉を確認するかのように繰り返す。
「気づかなかった?」
「そのときは、すごく眠かったんだ。だから、気づかなかったっていうか——」
スズは言葉に詰まりながら、慌てて大声を出す。
カエデは無表情だが、凛とした声で言葉を返す。
「私、必ず、あなたを護るわ」
指令室にいるハルトは、内心、スズに興味を持った。カエデがスズに対し、保護対象として、彼女を認めたからだ。
カエデは、ユキよりかは他人に興味がある。しかし、彼女が自らの意思表示ではっきりと、護ると宣言したのは、ハルトは初めて聞いたのだ。
ハルトは、軽く左手の拳を握った。あの日のことをありありと思い出すと、彼は悔しかったのだ。
あの〝実験〟のことを引きずっているのは、スズだけじゃない。〝ハルトたちも〟なのだ。
『ウーゼは回収するから、安心しろ。じゃあまた、あとでな』
スズは首肯する。
「うん。またね」
そこで通話は終了させられ、不通音がスズの耳に残る。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




