電話
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
突然、ウーゼに付随している固定電話から着信音が鳴り出す。
スズは肩を震わせて驚いた。電話だ。誰から?
隣にいるカエデが、電話の受話器をガチャッと取る。
「はい。はい。——わかりました」
カエデは受話器を耳から離す。
「はい」
「え? 私に?」
「そうよ。あなたに」
え? なんでなんだろう? スズは彼女から受話器を受け取ると、遠慮がちに話し始める。
「あの、もしもし?」
『お疲れ』
ねぎらう青年の声が聞こえてきた。
その青年の声は、スズにとって聞き覚えのある声だった。
「え? ハルト? どうして?」
ハルトはメインディスプレイで彼らを見つめながら、少し口角を上げた。
『二人とも。完ぺきだった』
スズは、ふっと微笑む。
「うん」
褒められた。
「スズ。あなた、優しくて温かいわね」
スズは一瞬、真顔になったが、すぐに不思議そうな顔をする。ん、なんで急に、そんなことを言うの? 久遠さん? どういうこと?
「ひとつ聞きたいのだけれど……あなた、なぜ昨日の夜に私のベッドに入って来たの?」
スズの手から固定電話の受話器が抜け落ちると、黒い装甲に金属音を激しくたてて当たった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




