安堵
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「ねえ、久遠さん」
彼女とともにハッチから体を出したカエデは、きょとんとした表情になる。
「色々と、ごめん」
「色々って? 私は気にしていないわ」
カエデは平然と聞いてくるが、スズは恥ずかしそうに口ごもる。
「その……」
「なぜ謝るの? あなた、昨日の夜も謝ってたわね」
再び、スズは、カエデをハッと見ながら言う。
「え? そうなの?」
「ええ、そうよ。あなた、泣いてたわ」
スズは少しうつむく。
「この前から、私、謝ってばかりだね……」
もう泣かない、って決めたのに……。
カエデは、うつむくスズの心を読んだように否定する。
「謝らなくていいわ」
彼女の黒い瞳の目尻が、ほんの少しだけ下がる。
「泣くのはあなたの心を和らげてくれる。だから平気よ」
スズは、カエデに優しく頭を撫でられる。
彼女は最初、ビクッと体を強ばらせたが、それは、今まで感じていた恐怖などではなく、不思議な安堵感だった。少しびっくりしたけど、なんか嬉しいな……あれ? 前にこんな風に、誰かに撫でられたような——。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




