謝罪
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
スズは、カエデとの共同部屋のベッドで、暗い電灯を見る。
「いよいよ、明日か……」
つぶやいたスズは片手を見つめ、握って離す仕草を繰り返す。
「不安なの?」
問いかけられたスズは、顔を、左側にいるカエデに向ける。
「うん……久遠さんは?」
聞いたあとに、じわじわと、彼女の中にある不安が押し寄せてくる。カエデは一言、平気よ、と彼女に応えた。
「ねえ、体どこか悪いの? 医務室にいたよね?」
「……」
そのときのスズは、彼女にかける言葉が見つからなかった。あ、と、口に出さずにあることを思い出すと、彼女に尋ねる。
「ねえ、久遠さん? なんで最初に会ったとき、私の名前を知ってたの?」
スズは、カエデから顔をそむけてうつむく。
すると、カエデも顔をそむいたが、彼女は謝った。
「ごめんなさい……」
なんで、謝るの?
「ううん。こっちこそごめん……」
そして、彼女は、少しため息をつく。
「私、あなたに会ったことがあるの」
スズはつかの間、何を言われたのかわからなかった。彼女の頭の中には、疑問符が浮かび上がるばかりだった。
「え……?」
返事をしないのもよくないな、とスズは思ったので、何かを言わないと、彼女は思い、何かを言おうとした。
しかし、少し経ってから、すやすやと、カエデの寝息が聞こえてきた。
どういうことなんだろう? うう、眠い。でも、トイレ行ってからにしよう……。スズは、ふらふらとおぼつかない足どりで、寝ぼけまなこをこすりながらトイレを済ませた。
彼女はベッドに横たわると、そのまま、夢の中へ向かって行った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




