自分と他者
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「ごめん……久遠さん」
スズに謝られたカエデは、顔をそむけて、ふるふると首を振った。
「ごめんなさい」
「ううん」
スズも首を振った。だが彼女は、実際、カエデをどう扱えばいいのかわからなかった。
彼女は、カエデを一人にさせようとする。
「じゃあ……」
今のカエデは、いつもより凛とした声ではなかった。
「待って」
カエデは、右手で左肘の辺りをつかんでいた。
「…………」
スズは彼女に振り向くが、内心、いたたまれなかった。
彼女は、その場から去りたかった。自分が、カエデを慰められる言葉をかけられるはずないと、彼女自身、思っていたからだ。
自分は自分で、カエデはカエデだ。
彼女のつらい気持ちに寄り添えることができないのに、なんと言葉をかければいいのか、スズは戸惑っていた。
カエデは、何かを言うのを迷っているようだった。彼女は、すがるような声だ。
「独りにしないで」
カエデの今の表情は、スズには見えなかった。
彼女は少し迷ったが、うん、とうなずいた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




