カエデの存在
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
スズは片膝を立てながら、ため息をついた。
四日前にカエデが言っていたことが、どうしても脳裏から離れてくれないのだ。なんとなく、考えてはいるが、スズの頭では、とんとわからなかった。
しかし、カエデはエンジェルせん滅を率先して遂行している。また彼女が、エンジェルを憎む理由はスズにも少しだけ見当がついていた。
エンジェルが、自分たちを攻撃するからだ。その攻撃する理由はわからないが。
今のカエデは、ユキのプリントを指さしながら、彼女ができないステップを教えているように見える。
ユキは、何かを話したあと、どこかへ行ってしまった。
仲はいいのかな? それとも私が、久遠さんたちにうまく話しかけられないだけ? ていうか、どうやって話せばいいんだろ……。スズは、カエデの頚部にある黒と赤のチョーカーを見つめる。そういえば、初めて会ったとき、久遠さんのあれをじっと見ちゃったんだよなあ。
スズはその頚部のものを見るたび、どんよりとした気持ちになることがわからなかった。
カエデのことは、スズにはわからなかった。エンジェルを憎み、それをせん滅する。
しかし、彼女は、
「選ばれなければよかった」
と、言っていた。おそらく、彼女はこう言いたかったのだ。
「私がパイロットに選ばれなければよかった」
なぜカエデは、パイロットになった自分を後悔しているのに、それでも憎いエンジェルをせん滅するのか——スズには、相反する感情が彼女の中にあることで彼女の存在を測りかねていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




