何もできない悔しさ
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
しかし、すぐに、スズの顔は気まずい表情になる。でも、久遠さんといると、あれを思い出すからな……。
だが、スズは、カエデのことで、しかも、恥ずかしい場面を思い出してしまう。もちろん、あの部屋のに付設されている脱衣所の扉越しで見た、全裸のカエデだ。
スズは脱衣所と部屋を隔てる扉を閉めようかどうか悩んでいたが、そのほかに、カエデの姿が彫刻のように美しいと感じたからだ。美術館にある、彫刻だ。
ぶんぶんと頭を振るが、ふと、背もたれに体を預けて、無機質なプログの天井を見つめる。
「のうのうと生きてるくせに。私はなぜ選ばれたの? なんて……」
こぽっ、とCPOの薄赤い泡が立った。続けて再び、こぽこぽと再び、薄赤い泡が立つ。
すると、冬服の少女は、白髪の少女にしなやかなもろ手の指で首にかけられた。
スズは勢いよくまぶたを開くと、拳を握り、眉根をひそめて唇を引き締める。彼女の深緑色のインサートスーツは、ギチッ、と衣擦れを起こした。
「私じゃ、何もできないっ……」
コックピットに、ゴンッ、と鈍い音が響く。
スズは苦々しい顔で、コックピットの端を拳で叩いていた。長く息を吐くと、インサートスーツの上から、胸元をかき抱くようにつかんだ。
「悔しい……」
コックピットは、ただ、彼女の吐き出された言葉と、呼吸の音に包まれた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




