ため息
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
そのカエデの声は、いつもの凛とした声ではなく、何かを諦めたような声だった。
「あなた、知ってるんでしょう? 私のこと、何もかも……」
カエデの体がぐらりと倒れそうな寸前、スズがそれを支える。
「あっ。久遠さん、大丈夫?」
ユキはカエデを、じっと見つめている。その表情からは読み取れないが、ユキも、スズとカエデを心配していた。
サクラは、医務室の自動扉が閉まると、二人に声をかけた。
彼女は左手を右手に重ね、普通礼をする。
「ありがとうございます。でも、驚かれましたよね?」
彼女の顔は苦笑した顔になったが、その顔はすぐに笑顔になった。
「お二人は、医務室に何か用事がありましたか?」
スズが目をうろつかせる。
「えっと、久遠さんのお見舞いに来たんですけど……あの、大丈夫なんですか?」
サクラは、なんともいえない苦しそうな表情をする。
「時々、つらい記憶を思い出してしまうみたいなんです」
彼女は、カエデに払われた右手をさすった。
「私はその痛みを取り除くことはできないので、今みたいにされると……」
彼女はふるふると首を振り、少しため息をつく。
「ダメですね。私」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




