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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
103/260

二人の相性

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 青年は、スズを手招く。

「ああ、ちょっといいか? スズ」

 スズは彼の隣に駆け寄ったあとは、少し見上げながら答える。

「あ、うん。ねえ、ハルト。ダンスどうだった?」

 ハルトは、真面目にダンスの復習をしているユキをちらっと見る。

 ユキは、すらりとした四肢(しし)を、子鹿のように跳ねたり、その動きを止めたりしている。

 ハルトは、何かをファイルに書き込んだ。

 スズは、なぜ、ハルトが支部にいるのかわからずに戸惑(とまど)っていた。どう見ても彼は、職位が高そうなきっちりとした黒い服を身にまとっている。それに、首の襟部分には、銀のピンが光っていた。

 スズは、ハルトをじろじろと見るが、そのうち彼は、スズに顔を向けた。

「ん? どうした?」

「え?」

 スズはきょとんとしたが、胸の前でもろ手を振る。

「あ、ううん。なんでもない」

 ハルトはあごに手を()てたが、片手でファイルのページを()る手を止めた。

「だいぶ曲に体を合わせられるようになったな。テンポも曲に合ってるし……あとは、間違いを意識すればしようとするほど、そっちに気が散るからな」

「そっか」

「ユキはカエデの代打だけど、四、五時間くらいで、この完成度はいいな」

「そう? ありがとう、ハルト」

 ハルトは驚いたような顔をすると、ぶっきらぼうに答えた。

「いや、別に……」

 ハルトはなぜか、ため息をついた。そのあと彼は、強引に話を変える。

「そうだ。カエデは、明後日(あさって)から復帰するらしい。よかったな」

 スズは、安堵(あんど)した表情をする。

 ユキも今は、左手と右足を伸ばしていたが、ピタリと止まった。両手と両足を下げた彼女は、ホッとしていた。

「よかった、カエデ」

ハルトは、スズのプリントを見ながら尋ねる。

「ところで、スズはどこが難しいんだ?」

 スズは立ち上がり、人差し指をプリントの上に滑らせる。

「あ、えっと……」

 曲が終わる。

 スズは、自分の携帯電話に目を向けた。あ……曲、終わっちゃったな。

 ユキはその場に(たたず)んでいたが、彼女に近寄る。

「真白さん」

 スズは、ユキに顔を向ける。

 ハルトは、二人に呼びかけた。

「じゃあ、さっきのところからだな」

 スズは律儀に、彼に首肯する。

「あ、うん」

「じゃあ、行くぞ」

 ハルトは、スズの黒い携帯電話から先ほどの楽曲を流す。

 スズには、まだ覚えきれていないところはあるみたいだったが、なんとなくコツをつかめたみたいだった。

「すげえ。息ぴったりだな……」

 ハルトの顔は、少し嬉しそうな表情をしているようだった。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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