赤い瞳と灰色の瞳
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
再び、自動扉が開くと、青年が戻ってくる。
「ハルト」
「林主任なら今は医務室にいる。カエデも一緒だから、安心してくれ」
スズはハルトの、カエデと名前呼びに内心、感心した。仲いいのかな? 彼女はそう、ぼんやりと思った。
「あの、さっき、顔色悪そうだったから、大丈夫かなって……」
「安静にしていれば大丈夫だって、主任が言ってた。そんなに心配するなよ」
「よかった……」
大丈夫なんだ……
スズに近づいたユキは、スズが持っているプリントのあるところを指でさして助言する。
「ここは右足のあと、左足からステップを踏む」
「え? そうなの? ごめん。真白さん」
スズが謝るのは癖だ。
スズの目の前のユキは、彼女のプリントを見つめながら少し考え込んだ。
「私、お手本見せたほうがいいのかな?」
「いいの?」
ユキが承諾するのは、スズが思ってもみなかった反応だった。白髪の彼女は、こくりとうなずいた。
ハルトは携帯電話を操作していたが、赤い瞳に灰色の目を向けた。
「ユキ。おまえ、そんな、人にお手本とか見せるタイプじゃないだろ?」
「え、そうなの? 真白さん?」
「スズは平気。それに、ハルトもカエデも、一色くんも」
彼女はハルトに目線を向けていたが、スズに顔を戻す。
「私、頑張る」
ユキはプリントから目を離すと、少しだけ唇を引き締めた。
えっと、難しいところは——。
「真白さん、ここからいいかな?」
カエデに間違いを指摘された少し前のところを指でさす。
「うん。スズ——」
呼びかけられた彼女は、え? となったが、ユキに近寄った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




