「突然変異種が出た?」
新章開幕です!
また、ここから更新が5日に1度となります。
ご了承いただければ幸いです。
悍ましき天使像との戦いから、およそ2ヶ月──。
「──本当なのかい? その情報」
「あぁ、間違いねぇらしい」
「へぇ……」
ユニは、とある酒場で有益な情報を手に入れていた。
とある迷宮に突然変異種が現出した──という情報を。
この広い世界のどこにでも発生し得る迷宮において、100万分の1という超低確率で現出する事がある7種の異端。
それらは現出した瞬間から高Lvの迷宮を護る者を遥かに凌駕する強さを持ち、言うまでもない事だが熟練の竜狩人が何十人と集まっても揃って消し炭にされるほどの、怪物。
最弱の突然変異種と言われる増殖変異種でさえAランクを下回る事はないと聞けば、その脅威は嫌でも伝わるだろう。
尤もSランクの竜狩人たちはもれなく単独で突然変異種を討伐可能な存在であり、ユニからすれば〝白〟や〝黒〟でなければ莫大なEXPをくれるだけの竜化生物でしかなく。
この前の天使像は元天使という事も相まってEXPは得られず、リュチャンタの竜狩人協会の長を〝処理〟しても大した糧にならなかった為、燻っていたところへの朗報だった。
「種類は?」
「いや、そこまでは……悪ぃな、中途半端で」
「別にいいよ、行ってみればいいし。 情報どうも」
「お、おう、また頼むぜ」
一応その突然変異種の種類も聞くだけ聞いてみたが、やはりと言うべきかはっきりとは解っていないらしく、ユニが声をかけた情報屋は申し訳なさげにしていたものの、ユニとしてはむしろ解っていない方が遥かにありがたかったようだ。
解っていないという事は、まだ誰も明確に討伐しようと声を上げていないという事であり、ユニが最初に単独で討伐できれば途方もないEXPが手に入るという事でもあるから。
「行こうか、アシュタルテ。 また1歩、夢へ近づく為に」
そして、たった二言三言の情報の代価としてはもらい過ぎな金銭を払って酒場を後にしたユニは背後にふわふわと浮かぶ悪魔、アシュタルテとともに件の迷宮へ赴かんとしたが。
『……構わないけれど、〝あの件〟はいいの?』
「あの件?」
『ほら、貴女の仲間だった3人が──』
そんなアシュタルテが出鼻を挫くように告げたのは、ほんの数日前に【超筋肉体言語】からの連絡で知る事となった。
『──再起不能になりかけるほどの怪我を負った事よ』
「……あぁ、それか」
【極彩色の神風】──ハヤテ。
【星との交信者】──クロマ。
そして、【人型移動要塞】──トリス。
元【虹の橋】の3人が死にかけているという事実だった。




