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竜化世界で竜を狩る 〜天使と悪魔と死霊を添えて〜  作者: 天眼鏡


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ドライアを蝕んだのは?

これにて、〝悍ましき天使像〟編は終了となります!


次回更新は1週間後、5/27(水)です!

 対象となる相手の精神に干渉する類の技能スキル魔術スペルは確かに存在し、それを解いたり治したりする技能スキル魔術スペルも存在する以上、当然【輪廻する聖女(セイントオブオラクル)】はそれを得手としてはいるが。


 ドライアが苛まれていたらしい〝精神汚染〟は、どういう訳かマリアでも解いたり治したりできなかったのだという。


 マリアの実力を知る者ならば誰もが驚愕し、どうしてそんな事がと疑問を抱くのだろうが、当の本人はそうでもなく。


「……肉体、或いは精神治療において私の力が及ばないのは私より強い者の影響下にある場合のみです。 つまりは──」


 何であれば、すでに答えへ辿り着いているようで。


「──Sランク(わたしたち)最後の希望(きみたち)か、って事だね」


「仰る通りかと」


 ユニが看破した通り、マリアより強い者となるとユニを始めとしたSランクの誰かか、マリアを始めとした最後の希望(ラストホープ)の誰かか、そのどちらかしかあり得ないと断言してみせる。


 容疑者として名が挙がるのはユニとマリア以外の15人。


 まず、元【虹の橋(ビフレスト)】の3人は違う。


 今もまだ処分を受けている最中だろうし、トリスはそこまで器用ではなく、クロマはユニの利とならない事は絶対にせず、ハヤテに至ってはマリアより強いと言い切れぬからだ。


 3人を止め切れなかったとして、ほんの僅かな処分を受けているらしいあの脳筋(ギルドマスター)も精神干渉など不可能な為、候補外。


 また、【碧の杜(フェンサリル)】の2人も違うと言っていいだろう。


 リューゲルはトリスに比べれば器用な方だが悪事に手を染めるような男ではないという事に加え、相棒のフェノミアが行方知らずとなっている為、それどころではない筈だから。


 更に、『器用でない』という理由ならクラディスも違う。


 あの狂戦士バーサーカーなら確かにユニと戦いたいが為の理由づけくらいしそうなものだが、こういう小細工はしないタイプだし。


 同時期に会ったミアは可能性がないとは言えない。


 ……が、あの錬金術師アルケミストはユニが思っている以上にユニへ懸想している為、クロマと同じくユニの敵になる事はしない。


 もちろん今回のクエストに同行したレイズも違う筈。


 裏は実力不足な上、表はそんな面倒な事はしないから。


 となると、まだ名前か二つ名のどちらかが明らかとなっていないSランクと最後の希望(ラストホープ)が3人ずつ、合わせて6人居るが、その中の誰かが最有力候補という事になるものの──。


「──きっと私も君も、同じ名が浮かんでる筈だよ」


「……えぇ、そうですね。 おそらく犯人は──」


 論ずるまでもなく、2人の推測は一致しており。


「「──【変生人形劇作家フェイクスピア】」」


 息を合わせるつもりもなく、2人の声が重なった。


 最後の希望(ラストホープ)に属し、最もSランクに近い道化師クラウンの名で。


 以前にもユニの近くでかの道化師クラウンの痕跡を見つけた事があったが、おそらく今回もどこか近くに潜んでいたのだろう。


 ユニやマリアの目を盗み、ドライアを蝕んだのだろう。


「一体、何の目的があってあのような事を……」


「さぁね、とにかく1つ言える事は──」


 しかし、とにかく動機が解らない。


 何故そんな事をしたのかと考えたところで、実際に会って聞いてみない事には絶対に解らない筈だと確信してはいる。


 ……確信しては、いるのだが──。


 ──()()()()()()()()()()()()()()


 それが、【変生人形劇作家(フェイクスピア)】という狩人ハンターの異質さ。


 とはいえ、ユニの目的はあくまで〝夢〟を叶える事。


 その邪魔者が布石でなかったなら言うほど興味もないのだが、残念ながら【変生人形劇作家(フェイクスピア)】は彼女にとっての布石の1つらしいものの、それを加味してもこの水の差し具合は。


「──私の気も、そこまで長くないって事だけだ」


「……ッ」


 逆鱗とまではいかずとも、苛立たせるには充分だった。


 常に冷静なマリアが、思わず息を呑むほどに。


「……ご武運を。 私から言えるのは、それだけです」


「ありがとう、じゃあねマリア」


 そして伝えたい事を全て伝え終えたマリアが仲間たちの元に戻る前に祈りを捧げ、それを見届けたユニが踵を返し去っていくのを見つめていたマリアは、ただ緩やかに手を仰ぎ。


(あの方の望む未来が、人々の望む未来でもありますように)


 ユニの夢の成就と、世界の平穏。


 きっと、どちらかしか叶わないのだろうと解っていても。


 そう願わずには、いられなかった──。

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