やっと見つけた
「……ユリ」
三月ぶりに。
その名前で。
呼ばれた。
月華は。
動けなかった。
賢俊も。
動かなかった。
ただ。
見ていた。
目の前にいる。
本当に。
いる。
三月。
探した。
何軒も。
何軒も。
妓楼を回った。
違うと言われるたび。
次へ行った。
見つからなくても。
探した。
あの夜。
約束したから。
――全部探す。
――見つかるまで探す。
そして。
やっと。
見つけた。
賢俊の。
目が。
赤くなる。
「……ずっと探してた」
月華の。
目から。
涙が落ちた。
昨日。
世俊から。
聞いた。
知っていた。
それでも。
本人の口から聞く言葉は。
全然。
違った。
「……うん」
声が。
震えた。
賢俊は。
泣きそうな顔で。
少しだけ。
笑った。
「やっと見つけた」
月華は。
もう。
笑えなかった。
涙が。
次々と。
落ちる。
「……遅い」
賢俊の。
顔が。
くしゃりと歪んだ。
「ごめん」
「三月もかかった」
「ごめん」
「……本当に、全部探したの?」
「ああ」
「妓楼、嫌いだったのに」
「嫌いじゃない」
賢俊が。
首を振る。
「興味なかっただけ」
そして。
迷うことなく。
言った。
「ユリがいたから」
月華が。
泣きながら。
笑った。
三月前と。
何も。
変わっていない。
自分は。
変わった。
着るものも。
暮らす場所も。
呼ばれる名前も。
全部。
変わった。
それでも。
この人だけは。
変わっていなかった。
「……見つけたよ」
賢俊が。
もう一度。
言った。
確かめるように。
「ユリ」
月華は。
月の髪飾りへ。
触れた。
そして。
泣きながら。
頷いた。




