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ワッフル店『小春庵』の日常  作者: 小春庵


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新メンバーの決定

翌週、春子は朝かなり早くから小春庵で掃除や準備をし、面接に備えた。

9時ちょうどにドアが開く。

「おはようございます。村雨さんのご紹介で面接に参りました、森井蘭と申します」

ショートヘアで化粧気のない、爽やかな女性だ。

「お待ちしていました。どうぞ」

春子は招き入れる。


話はだいたい聞いていたが、蘭は大学卒業後社会人となった半年後に、彼氏の急な転勤をきっかけに入籍し、この白沢市に越してきたと言う。それからずっと専業主婦で今は24歳だが、そろそろ働きたいなと思っているところに、隣に越してきた村雨紅葉の誘いで小春庵に興味を持ったという。


「こちらのワッフルは村雨さんからいただいたことがあって、3種類ともとても美味しくて大好きなんです」

「あら、ありがとう。私は採用が決まった人にいつも3つのお願いをしているのだけど、そのうち3つ目は、ここのワッフルに愛情を持ってほしいっていうことなの。それは既にクリアね」


そして春子は残り2つの守ってほしいことを説明する。まず1つ目は髪はまとめて爪は短く、服は上は白で下は自由、靴はペタンコなどの身だしなみについて。2つ目は、笑顔で楽しく勤務し、困ったことはすぐに言ってほしいということ。

蘭は春子の話を丁寧に聞き、うなずく。


「あと、シフトなんだけど、回数とか曜日の希望はあるかしら?」

「いいえ、専業主婦で子供もいないので、いつでも大丈夫です。主人の扶養内に収まりさえすれば回数や時間もお任せします」

「それはありがたいわ。早速来週から来ていただいても大丈夫?」

「はい!」

「ありがとう。それでは決定ということで、どうぞよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

「来ていただく日時はまたご連絡させていただくわね」


春子はワッフル3種類を包んで紙袋に入れ、

「本当ならここで『小春スペシャル』を食べてもらいたいんだけど、もうそろそろ次の面接の人が来るのよ。ごめんなさいね、これ持って帰って召し上がってね」

と渡し、蘭は、

「ありがとうございます。いただきます」

と立ち上がった。


蘭が帰ろうとドアを開けると、そこには大学生と思われる女性が立っていた。

春子は

「あらちょうど良かったわ、どうぞ中に入ってね」

と招き入れた。

女性は元気よく

「失礼します」

と言って中に入り、

「伊藤すみれです」

と笑顔で名乗った。

中に案内し、まず履歴書を見る。

「あら、高校時代に留学していたの?」

「はい、10ヶ月間アメリカの高校に通いました。単位認定の関係で高2からやり直す形になったので、4年間高校生をしました」

「なるほど、だから高校卒業で19歳なのね」

「はい。4月から白沢大学に入学します」

「ここは外国人観光客もたくさん来られるのよ。英語での接客は安心してお任せできそうね」

「英語のやり取りは問題なくできると思います。英語以外はわからないんですけど」

「じゅうぶんよ」

藍子がいなくなってどうしようかと思っていた英語の接客問題が解決しそうで、春子は顔がほころんだ。


すみれにもいつもの3つの約束をお願いし、シフトの希望を聞き、最後にワッフルを包んでいるところに華が出勤してきた。

「おはようございます」

「華ちゃんおはよう。ちょうどいいわ、こちらは4月から来てくれることになった伊藤すみれちゃんよ」

「よろしくお願いします。すみれちゃんって可愛い名前ですね」

「ありがとうございます。留学していた時は、すみれをsmileって書いて、スマイルって呼ばれてたんです」

「へぇ、可愛い。っていうか留学されてたんですか」

「はい、アメリカに10ヶ月だけなんですけど」

「じゅうぶんすごいです!春子さん、これで藍子さんがいなくなっても英語大丈夫ですね」

「本当に、奇跡的にこんな方が来てくれて良かったわ。募集要項に英語のことなんて書いてなかったのに」

「春子さんの人徳ですね」

「そんなことないけどね。すみれちゃんは留学してたから19歳で、華ちゃんと同い年なんですって。同じ白沢大で、1年と2年で学年は違うけど、仲良くがんばってちょうだい」

「はい!よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします」

すみれは嬉しそうに弾むような足取りで帰っていった。


「さあ、これでやっと最低限のスタッフが揃ったわ。もう少し多いと安心なんだけど、とりあえずスタートはできそうね」

「最初のうちシフト安定しなかったらおっしゃってくださいね。私最初の1週間はずっと入れますので」

「ありがとう。助かるわ。華ちゃんだけが経験者になるわけだから、たくさん頼ることになると思うけど、よろしくね」

「はい!がんばります!」



この物語はフィクションです。作中に登場する人名や地名、校名、お茶やフルーツの銘柄などはすべて架空のものです。一部実在の名称と同じものも混在しますが、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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