↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワッフル店『小春庵』の日常  作者: 小春庵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/28

卒業式

3月20日。ヒカルは前の週に小春庵勤務の最終日を迎え、拍手で見送られた。そして今日がいよいよ白沢大学の卒業式である。

藍子の長男晴弥と妻の紅葉も同じ白沢大の学生で、今日は藍子も式に参列するそうだ。晴弥の属する薬学部を含め6年制の学部は先に10時から式があり、紅葉の属する看護学科など4年制学部は13時半からなので、夫婦は別々の卒業式となる。両方に出る藍子は朝から入り浸りになるらしい。

そしてその間のお昼にわずか1時間ほどだが、晴弥と紅葉、両家の両親の計6人でお昼を食べる予定もあるので、非常にハードな予定だった。

というわけで今日は華と春子が2人だけで勤務することになった。


「華ちゃん朝からありがとう。新しいバイトの初響ちゃんはまだ学校の都合で初勤務できてないの。しばらく忙しい思いさせるけどごめんなさいね」

春子が言うと

「大丈夫です!しばらくはがんばって2人分は働きます!」

と張り切った。その言葉通り、てきぱきとオーダーをさばいていく。1年前とは別人のようだ。


少し客足が途切れた。

「この前言ってたパート志望の主婦さんお2人はまだ考え中みたいなんだけど、できれば大学生も1人雇いたいのよね。主婦は遅番はなかなか難しかったりするし」

「あーそうですね、家事もありますもんね。でも4月になったら白沢大の新入生が応募してくるんじゃないですか?」

「きっとそうね」


「ところで春子さん」

「何?」

「送別会の時のワッフルランチ、ここで出される予定はないんですか?」

「え?あれを?」

「あのランチ、美味しいし見た目も綺麗だしバランスも良くて、もし出したらきっと人気メニューになると思うんです」

「そう?嬉しいことを言ってくれるわね。でも店内も狭いしね。5つしか椅子もないし」

「広げることはできないんですか?」

「古民家だからそれは難しいのよ。増築はできないのよね」

「使っていない2階を改装するのはどうですか?」

「それも建築基準法がねぇ。そのままでは認可されなくて、階段なんかの大掛かりな工事が必要になるんじゃないかしらね」


「じゃあ、例えばスタッフルームを2階に移して、今のスタッフルームを客席にするとか。まあ客席6つぐらいしか増えないですけど」

「あら、それなら出来るかもね。そうねぇ、2階には電子レンジや冷蔵庫は置かないことにして、休憩の時もお弁当とかを上に持っていって食べるだけの休憩ルームなら、保健所や消防署の許可もOKかもしれないわ」

「そうですか!」

「一応古いエアコンはついてるし」

「じゃあ休憩はできますね」

「何だか急に来年度の新生小春庵の会議みたいになってきたわね」

「私あのランチが本当に気に入っちゃって。もし実現したらすごく嬉しいです」

「家主さんにも相談してみようかしら」

「わぁ!」

華の顔はパッと明るくなった。

「主婦さんお二人が入って、新しい大学生も入って、ワッフルランチも始まって、初響ちゃんがインターネットで発信して宣伝してくれて、たくさんお客様が来てくれるといいですね」

「本当ね。それは最高ね」


午後のピークも終わった頃ドアが開き、袴姿のヒカルが入ってきた。

「ヒカルさん!ご卒業おめでとうございます!」

「ありがとう」

「袴素敵です」

「私、日焼けで真っ黒でしょ?和服とか似合わないと思ったんだけど、藍子さんが、日焼けした肌なら南国の海みたいなパキッとしたターコイズブルーとかエメラルドグリーンが入った着物が似合うんじゃないかってアドバイスしてくれて、それでこれを選んだの。袴は濃紺でね」

「すっごくお似合いです」


春子が花束を持って出てくる。

「ヒカルちゃんおめでとう」

「わぁ、ありがとうございます。私来るとは言ってなかったのに、お花用意してくださってたんですか?」

「ヒカルちゃんなら絶対来てくれるもの」

みんなで笑った。

「しかもめっちゃ南国調のトロピカルな花束じゃないですか」

「ヒカルちゃんのイメージを考えたらそうなったのよ」

「着物ともピッタリで嬉しいです」

「じゃあ3人で記念撮影しましょう」

スマホの自撮りで撮ると、

「しばらくはこれをアイコンにします」

とヒカルは嬉しそうに言い、外で待っている友達のところに戻っていった。


「藍子さんのお着物もまた見たかったんですけど、今日は来れないですよね」

「さすがにハードよね」

「でもヒカルさんの着物も素敵でしたね」

「藍子さんに伝説教えてもらったり、着物の色のアドバイスしてもらったりして、ヒカルちゃんも藍子さんの和風の趣味の影響受けてるわね」

「藍子さんの影響恐るべし!」 

2人は笑い、 

「でも本当に藍子さんに相談したら適切なアドバイスもらえて安心しますよね」

「本当にね。明日藍子さんが来たらすぐにワッフルランチと改装のことも相談してみるわ」

「はい!」

この物語はフィクションです。作中に登場する人名や地名、校名、お茶やフルーツの銘柄などはすべて架空のものです。一部実在の名称と同じものも混在しますが、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。