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ワッフル店『小春庵』の日常  作者: 小春庵


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つながり

翌週から華は、実家から送られてきた道具を使い、久しぶりの羊毛フェルトに取りかかった。


手こずりながらも、小さいバナナとさくらんぼと桃が出来上がり、小春庵に持っていくと、春子は作品をてのひらに乗せて、


「もう作ってくれたのね!可愛くできてるわ。ありがとう。明日藍子さんに渡すわね」

と、嬉しそうに言った。


それに合わせて6月後半には藍子が木の札にウッドバーニングで

「小春スペシャル 今月のフルーツ」

と文字入れして、羊毛フェルトのフルーツを乗せ、2人の合作のメニュー札が完成した。


お客様の反応は上々で、それを見て小春スペシャルを注文する人もいた。


7月にはフルーツはバナナの他に石尾県産の『プリンセスピーチ』という桃と沖縄産のパイナップル『スイートゴールド』に変わった。


桃は桃でも6月の白沢姫と7月のプリンセスピーチでは色合いが少し違ったので、華は別の色で桃を作り直した。


先月の桃より綺麗な形になった気がする。

パイナップルもいい感じだ。


ヒカルも華の作品をとても気に入り、

「私にも作ってよ」

とねだるので、バナナと桃、パイナップルの3つを1つのストラップにしてヒカルにプレゼントした。


「ヒカルさん、これストラップをつけたんで、良かったら使ってください」


「わぁ、ハナありがとう。大切にするね」


ヒカルはすぐにバッグに付けて、嬉しそうに眺めた。


ある日、月曜日だが藍子が高校生の息子の授業参観で欠勤することになった。


華はその日は大学の授業が休講だと事前に分かっていたので、代わりに早番で出勤することになった。


春子は、

「華ちゃん今日は来てくれてありがとう」

とお礼を言い、華は、

「いえいえ、たまたま休講で暇だったんでちょうど良かったです」

と嬉しそうに答えた。


「もし急に誰かが病気とかでお休みして代わりがいなくても、その場合は私が厨房と販売を両方やるから気にしないでね。そういう時はお客様もゆっくり待ってくれたりするのよ」


「ありがとうございます。でも私、体はこの通り丈夫なんで、滅多に病気はしないんです」


華は力こぶを作って見せ、春子は

「頼もしいわね」

と笑う。


「でもどうしてもの用事があるときは遠慮なく言ってね」


「ありがとうございます。春子さんも、もし藍子さんやヒカルさんが急に欠勤される場合は遠慮なくおっしゃってください。可能な限り都合つけます」


「まあ、さらに頼もしいわね」

春子は嬉しそうだ。


そこに

「おはよう」

と業者の女性が入ってきた。


「サカちゃんおはよう。あ、華ちゃんは初めてね。こちらは4月から来てくれてるバイトの華ちゃん。月曜日はシフトに入ってないから今まで会ったことなかったわよね。華ちゃん、こちらは栄牧場さんよ」


「初めまして」

2人は挨拶を交わす。


「サカちゃんと私はこの町の出身で、小中高と一緒だった幼なじみなの。サカちゃんは結婚してもう栄ではないんだけど、私は今もサカちゃんって呼んでる」


サカちゃんと呼ばれた女性は華に優しく微笑んだ。

「私はいったんは専業主婦になったんだけど、子供が大きくなってからまた実家の牧場を手伝ってるの」


春子がそのあとに続ける。


「私は56の時に主人を癌で亡くして、その翌年に主人も好きだったワッフルのお店を開こうと思ってこの店を作ったのよ。それが3年前。サカちゃんの牧場から新鮮な牛乳やバターを届けてもらえるのが本当に心強かったわ。美味しいアイスクリームもね。そもそもこの古民家の物件を紹介してくれたのもサカちゃんのお父さんなのよ」


「そうなんですか!春子さんの恩人なんですね」


「そうなの」


サカちゃんは笑い、

「恩人ってほどじゃないわよ。こういう町では家族経営の小さな会社どうしの横のつながりが大きくてね、長くやっているといろんな人脈があって協力してもらえるのよ。人のつながりってありがたいわよね」


サカちゃんは、春子の親友というのがいかにも納得できるような柔らかい笑顔である。


華は初対面なのにもうサカちゃんが好きになった。


「栄牧場さんって一般人も訪問できるんですか」


「もちろん!搾りたて牛乳や濃厚ソフトクリームも売ってるわ。華さんもぜひお休みの日にお友達といらしてちょうだい」


「ありがとうございます!」


華はその日の夜、親友の夢子にメッセージを送る。


「今日、栄牧場っていうところの方と知り合いになったんだ/搾りたて牛乳とか濃厚ソフトクリームもあるんだって」


「めっちゃいいじゃん!どこにあるの?」


「白沢市内の端っこのあたりらしい/バスで25分ぐらいで行けるんだって」


「早速来週あたり行く?」


「うん!」


華は美味しいソフトクリームも夢子と遊ぶ1日も楽しみだったが、今日知り合ったばかりの素敵な女性サカちゃんにまた会えるのも楽しみで、笑顔になってスマホを閉じた。

この物語はフィクションです。作中に登場する人名や地名、校名、お茶やフルーツの銘柄などはすべて架空のものです。一部実在の名称と同じものも混在しますが、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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