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マギア・クライシス〜魔術師たちの現代戦記〜  作者: 山崎ペンギン
第一部 災嵐開演

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8/19

衆人環視

「何上から捜査の切り上げの指示だと?!」


刑事が部下の男の報告に驚く。


「ええ、なぜかはわかりませんがこの事件の捜査を切り上げろと。かなり上の方からの指示みたいです。」


部下が刑事にそう伝える。部下の方も何故かは分からないと言った顔をしている。


「どうやらうちの上司もこの決定には抗議しているみたいですよ。何故上からの圧力で捜査を中止しなければならないのかと。」


「やっぱり魔法のようなものが原因なんだろうか・・・。いやそうだとしても圧力に負けることなど俺自身が許さない。絶対に捜査しなければならないはずだ。聞き込みを続行するぞ。」


「「はい!」」




「ええ、このビルとビルの間の隙間で若い女性二人を見ましたよ。」


20分後刑事はとある30代くらいの男性から情報を得ていた。


「そのまま奥へと逃げていきましたよ。」


「わかりました、ご協力ありがとうございます。」


刑事が頭を下げる。


「でもさっきも同じことを警察に聞かれたよ。あなたたちさっきの人とは違う感じ?」


刑事が疑問に思う。捜査しているのは我々である。なのにもう警察が聞き込みをしているとこの男性は言う。


「それってどんな感じの人でした?」


部下が聞く。


「3人組でスーツを着た明らかに刑事っぽい人だったよ。うち一人は女性でね。」


自分たち以外に警察を名乗って捜査している人物がいる。それは紛れのない事実のようだ。


「まさか警察の上層部自体が操作をしているのか?まさか公安がでているのか?でもそれならば我々の捜査を上が止めたことも説明がつく。」


妙に納得してしまう刑事。


「だが我々にもプライドがある。うちの上司も抗議しているのであれば捜査を継続しよう。聞き込みを続けるぞ!」


「「はい!」」


こうして刑事たちは再び聞き込みを行い始めた。




「はあ、はあ。誰も来ていないわね。」


「ええ、大丈夫みたいです。」


セレネとルナの二人は渋谷駅から少し離れたところの路地裏にいた。なんとか先程の場所から逃げることができたものの人目につくところには出れない。そのため人通りがない路地裏で休んでいるのであった。


「もう体力がもたないわ。仕方ない、誰もいないわね。」


そう言いながらセレネが魔術を発動する。使うのは渋谷駅でルナが使った魔術と同じものだ。セレネの足元に魔法陣のようなものが広がりそこから黒い光がセレネを覆う。数秒で光は消え、魔法陣も跡形もなく消えた。


「これでしばらくは持つわ。」


セレネの息切れが治り、明らかに表情も先ほどとはうって変わっていい状態である。

体力を前借りするとはいえ、数秒で体力が回復するのはセレネの魔術師としての能力が高いからである。セレネの父である月政よりは劣るものの黒姫家歴代でもトップクラスの実力を持つのである。


「さて、どうしようかしら。月彦が来るまでまだ時間がかかるわ。とりあえず渋谷から離れた方がいいのかしら。」

セレネがこう言う。


「いや、下手に渋谷から離れると月彦様と合流が難しくなりますよ。」

ルナが答える。


「それもそうね。とりあえずは場所を変えながら逃げるしかないかしら。」


「あれ、あの二人Xで上がってた二人じゃない!?」


「あれそうかも!」


若い女性二人組がたまたま路地裏を通ったことで見つかったようだ。


「隠れこむ場所がないわ。仕方がない。ごめんなさいお二人。」


と言いながらセレネが女性二人の足元に魔術陣を描く。


「きゃ、何これ・・・。本当に魔法なの?!」


魔術陣から放たれた黒い光が女性二人を包み込む。


3秒も経たないうちに光と魔術陣は消えた。女性二人は虚な目をしていた。


「今のうちに逃げるわよ!」


セレネとルナが路地裏の奥へと走り出した。だが女性二人は追うそぶりを見せなかった。虚な目をしていたが目の焦点が元に戻った。


「は!私たち何していたんだろう?なんでこんな路地裏にいるの?」


「ほんとになんでだろ。分からない、ここ数分の記憶がなくなっているよ!」


「どう言うこと?本当だ路地裏に来る前までは思い出せるけどそこからが分からない。思い出せないわ。」


路地裏で立ちすくむ二人であった。




「なんとか逃げれたわ。」


セレネがゼーゼーしながら言う。二人は渋谷駅からさらに離れたビルとビルの間の狭い隙間にいた。


「まさかお嬢様が魔術を使われるとは。」


ルナが驚いた顔で言う。


「あの程度ならあの二人にも後遺症はないわ。とにかく忘れてもらうのが一番いい方法よ。」


先ほどセレネが使ったのは忘却術式である。対象の相手の記憶をなくすことができる。今回は数分記憶を無くす程度であったが、事前準備などを行うとかなりの期間の記憶をなくすことができる恐ろしいものである。


「本当はこの近辺全員にやりたいのだけど流石に無茶だわ。」


「お嬢様、流石にそれは。」


ルナが若干ひく。だがやろうと思えばできなくはないことをルナは知っている。


「とにかく月彦が来るまで時間を稼ぐわよ。あなたも魔術を使ってもいいから。」


セレネはこう言いながら再び回復の魔術を行った。






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