魔術師対策室
「逃したか。」
長門からの連絡を受ける対策室室長の大和大輔。
「赤川家と黄柏家が逃走を手伝ったと。未確認の魔術具を使用して逃走したとみられるのか。その魔術具の効果はわからないがこの2家が関わっているなら関西方面へ逃走した可能性が高いな。丹波と伊賀に報告だな。対応に当たらせよう。お前たち三人は引き続き付近を捜索だ。」
大和は冷静に分析をする。そして携帯を取り画面を操作した。
「もしもし、大和だ。ちょうど大阪に着いた頃か?魔術師たちが関西方面に逃走した可能性がある。ああ、引き続き警戒するとともにまずは伊賀とともに赤川家の茜焔の館に向かってくれ。」
通話の相手は関西方面に向かっている魔術師対策室副室長代行の丹波綾だ。通話が切れると同時にまた携帯を操作する大和。
「もしもし、今大丈夫ですか。ええ、問題ないですか。魔術師なのですがすみません取り逃しました。今は関西方面へ向かっている可能性が高いです。わかりました、情報統制は引き続き警視庁が行っていると。ええ、情報がSNSを中心に出回っています。警視庁も各プラットフォームに削除要請を出しているみたいですが動きが遅いみたいですね。もう魔術師の存在は公然の秘密になっています。ええ、できるだけ早急に確保いたします。わかりました。失礼します。」
通話が切れる。通話の相手は安田総理だ。
「ふう、魔術師はなんでもありだとは聞いていたがまさかあの状況で逃亡できるとは。まさかワープか?白神家の白魔術にはそういう魔術があるとは聞いているが。白神家由来の魔術具なのだろうか?」
大和が頭をかかえる。取り逃してしまった以上次の手を打たなければならない。
「とにかくまだ関西に逃げたとは限らない。長門たち三人には引き続き渋谷を捜索してもらうがさてどうしようか。」
新大阪駅から地下鉄に乗り約25分。大阪・天王寺にある茶臼山。その付近に赤川家の屋敷である茜焔の館は建っていた。
「初めて来たけど立派なお屋敷ね。」
丹波綾が感嘆する。
「そうですね大阪の都心にこんな屋敷があるとは。」
同じく対策室の伊賀俊哉が同意する。
茜焔の館。大阪の茶臼山近辺に立つ真っ赤な小ぶりの洋館である。地上2階、地下1階建てであり、庭は西洋風の庭園である。
「とりあえず当主の赤川弘陽がいるか確認するわ。」
そう言いながら門にあるチャイムを押す丹波。だが誰も出てくる気配がない。普段は弘陽が一人暮らしをしているためいるならば弘陽が出てくるはずである。
「いなさそうね、気配もないわ。大阪ではなさそうね。となると黄柏家の屋敷がある京都の宇治市かしら。」
「そうですね。黄柏光希が魔術具を使ったという情報が出ているのでもし関西に逃げているしたらそっちの可能性が高いですね。」
伊賀が丹波の推測に同意する。
「とりあえずSNSを見ても目撃情報が大阪で上がっているわけではないから大阪に潜伏している可能性は低いわ。ひとまず宇治に向かいましょう。もしかしたら潜伏しているかもしれないし。」
丹波と伊賀は屋敷を後にし、地下鉄の駅へと向かった。
「俺たちが一番の貧乏くじだ。流石に福島の山の中は遠すぎる。着いたらもう夜だぞ。今日は車中泊確定だな。」
魔術師対策室の磐城雄大がこうぼやく。
「そうですね、初めて行きますけど本当に遠いですよね。」
同じく対策室の淡路祐樹も磐城に同意する。
二人が向かっているのは福島県檜枝岐村。福島の山中にある村である。ここに白魔術を操る白神家の屋敷が存在するのである。公共交通機関でいくのは困難であるため車で高速に乗って向かっているのである。
「白神家はなー、外に出てこないんだ。俺らが行っても相手にしてくれるか。屋敷の前に結界が張ってあって中に入れないようになっているんだ。許可を得たものしか入れないようになっている。果たしてどうなるやら。必要ならば対魔術師用兵器でこじ開けるものの。」
磐城がうんざりといった顔で淡路に説明する。運転するのは淡路だ。
「そうなんですか。それは厄介そうですね。」
「だから必要ならば強行突破するしかあるまい。」
磐城がこう答える。
「それはそうと帰りは運転変わってくださいね。」
「ああ、わかった。」




